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第62話:国はどこにあるのか?
放課後の教室。
黄色のシャツに短パン姿のまひろは、机にヤマホを置いたまま、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
教師は緑のスーツに縁メガネをかけ、黒板に大きくチョークで書いた。
「国はどこにあるのか?」
「はい、みなさん。今日の心の授業はこれです」
教師の声は淡々としていた。
「大和国に建物としての政治機関はありません。ですが国は存在します。なぜでしょうか?」
生徒たちはざわざわと小声で話し合う。
一人の男子生徒が手を挙げた。
グレーのシャツに濃い緑のベストを着ている。
「ヤマホやヒスイネットがあるから……それが国なんだと思います」
教師は頷く。
「そう。国は“建物”ではなく、“つながり”です。ヤマホとヒスイネットを通じて、法律やエネルギー、配給や学びがすべて届く。それが大和国の形です」
テレビ画面が教室前方で点灯し、ナレーションが流れた。
「大和国は、どこにでもある。入力がある場所すべてが国。安心がつながる限り、国は消えない」
スーパーの映像が映る。
「スーパー → ニンジン フタツ → カイケイ → ケッサイ → オワリ」
買い物を終えた親子が笑顔でアンズイを唱和する。
まひろは小さな声で呟いた。
「国って……どこかに建ってるんじゃなくて、僕らの入力の中にあるんだね」
暗い一室。
緑のフーディを羽織ったゼイドはモニターを前に座り、市民たちが笑顔でアンズイを唱える様子を眺めていた。
「国はどこにあるか……?
市民が信じる“場所”にしか存在しない。
入力と映像、それが国のすべてだ」
モニターには「国はどこにあるのか?」と掲げられた黒板が、延々と映し出されていた。