テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#TL
瀬名 紫陽花
14,533
#BL
多 動 症 .
30
「へっ!?な、何言って!?叶人くんは全然関係ないよっ……!」
「ははっ!先輩って本当に分かりやすいですよね~。名前呼びしてる時点でバレバレです」
クスクスと楽しそうに目を細める佐藤くんに
私は耳まで熱くなるのを感じて必死に言い返した。
「……っ!言っとくけど、別に叶人くんのことどうとも思ってないから!好きとか、そういうのじゃ全然ないからねっ!?」
「はいはい。俺、別にそこまで言ってませんけどね?先輩、自分から墓穴掘る天才すぎません?」
「ぐっ…!う、うるさいなぁ……」
完全に一本取られ、私はぐぬぬと唸ることしかできない。
「ま、先輩って『彼氏イコールいない歴年齢』の、ピュアピュアOLですもんねー」
にっこりと悪魔のような笑顔で、私の最大の急所を突いてくる生意気な後輩。
私は思わず眉を顰めて睨みつけた。
「そ、それは今の話に関係ないでしょ!っていうか、それを言うなら佐藤くんは私を煽る天才じゃない?」
「あはは、褒め言葉として受け取っておきます!」
ああ言えばこう言う。
全く、可愛げのない後輩だ。
「それはそうと……先輩、さっきから全然グラス進んでないですよね?」
佐藤くんの視線が、私のテーブルの上へ落ちる。
そこには、宴会開始時に乾杯したまま
泡が完全に消え失せてほとんど減っていないビールジョッキが佇んでいた。
「うっ…まあ、ちょっとね……」
「お酒、弱いんですか?」
「……別にそういうわけじゃないけど。苦いのがちょっと苦手ってだけで、飲めないわけじゃないわ」
「へえ。先輩が酔っ払ったらどうなるのか、俺、ちょっと見てみたいかも」
「へ、変なこと言わないでよ!」
私がムッと頬を膨らませると、佐藤くんはさらに愉快そうに肩を揺らした。
「冗談ですよ、冗談。でも先輩、本当に感情がすぐ顔に出ますよね」
「うぅ…それは、昔からよく言われるけど…」
「ちなみに今、どんな顔してるか教えてあげましょうか?」
「えっ……い、いいわよ。自分で気をつけるから!」
「ふふっ。でも、今日黒崎さんが来てから、先輩ずっと「他の子と喋ってないで私と喋って~」って顔ですよ?」
「そ、そんなこと思ってないって……!」
「はいはい、素直じゃないですねー」
「もー、からかわないで!」
そっぽを向いた私の横顔を、佐藤くんはしばらく無言で見つめていた。
すると、彼は突然ふっと笑みを消し、少しだけトーンを落とした真面目な声で呟いた。
「ま、お酒に関しては、俺も先輩のこと言えないんですけどね」
「……え?佐藤くんもお酒、苦手なの?」
いつも飄々としている彼の意外な言葉に驚いて見返すと、佐藤くんは少しバツが悪そうに苦笑した。
「はい。学生時代の合コンで、タチの悪い女の先輩にイッキ強要されて。みんなの前で派手に吐いちゃったことあって……はは、ダサいでしょ」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!