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俺様生徒会長に鳴かされて。

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俺様生徒会長に鳴かされて。

14 - Lesson4 小鳥の飼い方なんて知らねぇよ 4

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2025年01月02日

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「なんかさっきも危ない雰囲気だったし、優羽ちゃん、彪斗なんかと一晩でも一緒の空間にいてみなさいよ。頭の先から足の先まで、バリバリ食べられちゃうんだからぁー!……って、あれ…優羽ちゃん?」

ぽろぽろぽろ…

いつの間にか、優羽は泣いていた。

「ば…なんで泣くんだよ、それくらいで…っ!な、泣くなよ」

「泣かない方がおかしいでしょ!あんたみたいなロクデナシの餌食になるってわかっちゃ!…優羽ちゃん、大丈夫…??」

「ご、ごめんなさい…なんか急に悲しくなっちゃって…」

悲しく?

俺に遊ばれて捨てられると、本気で思ったのか?

なんだよ。俺、そんな風におまえに決めつけられちまってるのか?

「んなわけないだろ!優羽」

俺の大声に驚いて、優羽はぴたりと涙を止めた。

膝をついて、俺を見つめてくる可愛い顔をのぞきこみながら、涙をぬぐう。

「い、今までの女はそうしてたし、そうしてきてなんとも思わなかったけど…おまえは別。特別っ!」

「とく、べつ…?」

「…そうだよ」

めっちゃ特別。

世界中の誰よりも、特別、だ。

「ほんと…に?」

「ああほんとだ。おまえだけは、ひどいことなんかしねぇよ」

てか、できねぇよ。

ぽろぽろぽろ

あー!なんでだ!なんでまた泣くんだ、優羽…。

「ご、ごめんなさい、今度はうれしくて…」

う、うれしい…?

「わたし泣き虫で…ごめんなさい。もう、泣かないように、するね…」

ごしごしと頬をぬぐうと、優羽はちょっと赤くなった顔に、はにかんだ笑顔を浮かべた。

ああやっぱ。

好きすぎる…。

もうヤバいくらい朝も昼も夜も、ずっと優羽といてぇ。

「じゃいいだろ、俺と暮らすぞ」

「えーえーでもでもぉ、やっぱり女の子と一緒のほうが楽しいよね??」

「寧音…ってめぇはさっきからウゼぇんだよ。大人しく譲りやがれ」

「ウザいのは彪斗っ!威張るのもいい加減にしてっ!ねー優羽ちゃん、私と彪斗、どっちがいい??」

「俺にしろっ、優羽!」

「私と一緒にくらそ!?」

俺と寧音を交互に見つめて、くす、と優羽は可愛く笑った。

「寧音ちゃんと、暮らしたいです」

がーん…。

「やったー!はい、ということで彪斗、とっとと出て行って!」

「ち。わかったよ」

とぼとぼ、と俺は背中を丸めてドアに向かった。

けど、

「…おい優羽」

「あ、っはい」

「明日から、学校くるんだろ」

「…はい」

「ち、ちゃんと、メガネとその頭で来いよ」

「はい…」

「一緒に暮らすのは大目に見てやる。けど、おまえは、お、俺のものだってこと、忘れるなよ。明日からは、俺の言うことは絶対に、なんでもきかなきゃ、だ、だめなんだからなっ」

どうしてどもってしまうのか…解からないまま言いきると、バタン!!と乱暴に閉めて、俺は部屋を出て行った。

エレベーターの扉がしまるまで、寧音のクソむかつく笑い声が聞こえてきた。

「う、ウケる!彪斗が!あの彪斗が…!女の子にマジ惚れー…!!!」

なんとでも笑えよ、くそっ。

俺だって、もう情けなくてどうにかなっちまいそうだ…。

ほんと、調子狂う。

俺の言うことはなんでも聞け、だなんて言っといて。

もう例外認めちまった…。

くそ。

あの泣き顔、マジで反則なんだよ…。

この俺が。

この惣領彪斗が。

たかが女ひとりに、こんなに戸惑うなんて。

歌っているあいつを見た瞬間、この世のものなのかと息が止まった。

手をつかめたことにびっくりした。

つかんだ瞬間、消えてしまうんじゃないかと、どこかで思ったから。

つかめたら、絶対逃がしたくないって、我慢できなくて―――。

きっとそこから、俺は今までの自分を見失った。

目が離せなくなる、可愛い顔。

細い手足、華奢な身体。

そして、甘い歌声…。

「ダイヤの原石」か。

は、そんなもんを、ほったらかしてたまるか。

磨かなくてあれなのに、きれーに磨かれちまったら…

さすがの俺でももう届かないところに行っちまうかもしれない。

あいつは、俺だけの小鳥なんだ。

小さくて、弱々しくて、清らかな、世界でただひとりしかいない、大切な小鳥。

こんなくだらねぇ学園のてっぺんに居座ってたって、くそも面白くねぇって思ってた。

けど、今初めて良かったと思った。

全力でもって、あいつを独り占めしてやる。

誰にも手出しはさせねぇ。

けどあいつに泣かれると…もう強引も乱暴もできなくなって、どうすればいいのかわからなくなる…。

泣くと何倍も可愛く見えるとか…反則技だよな。まじで敵う気がしねぇんだけど…。

ああくそ。

小鳥の飼い方なんて、知らねぇんだよ…。

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