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???「俺の母さんに料理を教えてもらいたい?」???「そうなの。お願いできない?」
ここは、死神組本拠地。「兎白」は「桃時」に頼み事をされていた。
兎白「お前ならいつでも構わないと想うが、料理なら橙でも良いんじゃないか?」
桃時「いや、あんたのお母さんともっと親しくなりたいし、それにこの前……」
『私料理が苦手で……』『じゃあうちに来たら良いんじゃないかしら?お料理くらい教えるわよ?』『ありがとうございます!』
桃時「……って言って貰えたわよ?」
兎白「別にいいんだが、お前何で俺の親の前じゃ一人称「私」になるんだ?」
桃時「「アタシ」じゃ我が強いって思われるかなって」
兎白「そんなことないと想うが……」
桃時「アタシの方からも頼むけど、あんたからもよろしく!」
兎白「あぁ、分かった」
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???「あら、桃時ちゃん!相変わらず可愛いわね!うふふっ」
桃時「ご無沙汰しています」
桃時と話しているのは、「虎月」……つまり、兎白の母親である。
桃時「今日はお料理を教えて貰いに来させて頂きました。よろしくお願いします。」
虎月「あらあら、またそんなに固くなって……もっとリラックスして良いのよ?こちらこそよろしくね?」
桃時「は、はい!」
桃時は虎月に促され、家の中に入っていった。
虎月「じゃあまずは、何から作ろうかしら」
桃時「その……お弁当を作ってみたいので、お弁当の具を練習したいです」
虎月「良いわね!……もしかして兎白に作ってあげるの?」
桃時「へ!?いや別にそういう訳じゃ……なくもないですけど……」
虎月「うふっ、絶対喜んでくれるわ」
桃時たちはまずは「卵焼き」を作ることにした。
桃時「こうですか?」
虎月「そうそう、ここで卵を流し込んで……桃時ちゃんは初心者だからヘラで巻いた方が良いわね。……そうよ!上手上手!」
少し不恰好だが、何とか「卵焼き」ができた。
虎月「少し休憩する?」
桃時「いえ!私は大丈夫です。虎月さんはいかがですか?私に付きっきりで教えて下さって……疲れていませんか?」
虎月「まぁ……桃時ちゃんは本当に優しいのね。私は大丈夫よ。」
桃時「では、次もやりたいです!」
虎月「分かったわ。じゃあ……ちょっと難しいけど、三角おにぎり作ってみましょうか」
桃時「はい!」
今度は「三角おにぎり」を作ることにした桃時たち。
桃時「あ、熱い!」
虎月「大丈夫?!手で握るのが無理なら、ラップを使ったり、あとはこういう型に入れてやるのも良いかも」
桃時「すみません……ありがとうございます。」
虎月「何の具入れる?」
桃時「……たらこ」
虎月「分かったわ!入れましょ!」
途中、熱くてやけどしそうなったが、何とか三角おにぎりができた。
虎月「何個かおにぎりできたわね!頑張った証ね。最後に作ったおにぎりは、ちゃんと形になってるし!」
桃時「うふっ、ありがとうございます!」
虎月「じゃあ早速お弁当箱に詰めるわね」
桃時「私もやります!」
数分後、
虎月「うんうん。シンプルだけど、その分沢山おにぎりの具を入れたから満足感はあるはずね!」
「それから、」と虎月がニコニコ笑いながら話を続ける。
虎月「桃時ちゃんすごいわ。兎白が好きな具がちゃんと分かってる。兎白が教えてくれたの?」
桃時「いえ。よく食べてるのがたらこだなと想ってみてたので……」
虎月は、少し驚いた。それほどまでに生き物の心の機微に敏感なのだということを。そして、兎白は、桃時に手を添える。
虎月「そうやって人のことをちゃんと「観る」ことかできるのは、立派な力よ。桃時ちゃんの優しい証拠ね。でも、やりすぎるととても疲れちゃうから、程々にね?……と言っても中々「程々」って難しいのだけれど……うふふっ」
桃時「……私の知り合いにも私みたいに……いや、私以上に人の心の機微に敏感な神がいるんです。そのくせ、自分の心の機微には鈍感。いっつも心配が欠かせなくて、すごく自責してて……でも、」
虎月「幸せになって欲しい……でしょ?」
桃時「!、そうなんです。……もしかして、兎白さんから聴いてますか?」
兎白「ちらっとね。とっても心配なお友達がいるんだって。何としても幸せになって欲しい。幸せになってもらわなきゃ困る……って言ってたわ」
桃時「……すみません。暗い話になってしまって……」
虎月「いいのよ。気にしないで」
桃時「今日は本当にありがとうございました。早速このお弁当渡しに行きます。」
虎月「気をつけてね〜!」
桃時「はい!」
そして、桃時は兎白の実家から離れていった。
???「今……誰かいたのか?」
虎月「お父さん……もう……桃時ちゃん、もう行っちゃったわよ。起きるのが遅いんだもの」
???「お母さん〜台所にある美味しそうなやつ食べて良いのか?」
虎月「はいはいどうぞ」
「「龍雪さん」」
龍雪は、兎白の父親である。
龍雪「んーん!美味い!」
虎月「それ、桃時ちゃんが作ってくれたの。余ったら置いて行ってくれたのよ」
龍雪「本当に美味しいな。良いお嫁さんになれそうだ」
虎月「そういうのは本人がいる時に言わないと……うふふっ」
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桃時「ん。これ。」
兎白「何だこれ?」
桃時「開けてみれば」
兎白が包みを剥がすと、
兎白「お弁当か。……もしかしてお前が作ったのか?」
桃時「そ。まぁ美味しいか分からないけど」
兎白「頂きます」
兎白は、まずは卵焼きを食べた。
兎白「うん。ほんのり砂糖が入ってるな。甘じょっぱくて美味しい」
桃時「……うふっそう?」
次に兎白は、おにぎりを食べた。
兎白「たらこが入ってるな。俺が一番好きな具だ。すごく美味しい。ありがとう。桃時」
兎白は、ほんのり笑う。
桃時「どういたしまして!うふふっ」
兎白「でもどうしてお弁当なんだ?」
桃時「あんた仕事でご飯抜いたりしてるんでしょ?ちゃんと食べて欲しかったの」
兎白「あぁ!だから母さんに料理を教わったのか」
桃時「もう……そういうところは敏感なのね……おかしな人……うふふっ」
二人は木陰に座って、緩やかに今の時を過ごした。