テラーノベル
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両親に契約結婚の話をするわけにはいかない。
言えばきっと、傷つけてしまうから。
「な、何なの? 最低ね、あなたって本当に最低。何もかも私から奪っていく」
「涼香姉さん、ごめん。龍聖君はお姉さんのことを恋愛対象として見てないの。でも私は、龍聖君のことを高校時代からずっとずっと本気で好きだったから。だから、今はお姉さんにもちゃんと前を向いて自分の道を見つけてほしいの。私は海外にいく。お姉さんも……どうか幸せになって」
心が傷んだ。
私、すごく酷いことを言ってる。
本当に……ごめん。
「涼香。琴音の言う通りだ。家族はみんなお前を大切に思ってる。幸せになってもらいたいと願ってるんだ。なのに、なぜいつもそんな態度を」
「パパは何も見てないのね。私はずっとパパのことをたった1人の家族だと思ってたのに。この人達が来たとたん、私のことをないがしろにして、私との時間をどんどん削った。おまけにいっぱい仕事を増やした。なのに、琴音達とは楽しそうにおしゃべりして。私は……寂しくてたまらなかった」
涼香姉さん……
「そんなことないよ。お父さんは、いつだって涼香姉さんと話そうとしてたのに、姉さんが口を聞かなくなったんだよ。私、すごく寂しそうなお父さんの顔、今でもちゃんと覚えてる」
言えないけれど、お父さんは「自分が不甲斐ないからだ」と泣いてたこともある。お父さんもお母さんも、ずっとずっと悩んでいたんだ。
「ママがいなくなって、私にはパパしかいなかった。だからもっともっと話してほしかったのに。琴音は私のパパを奪っておいて、自分だけキラキラ青春して。パパもバカみたいに工場工場って」
涼香姉さんの怒りや悲しみ、お母さんがいないつらさは……私にもわからなくはなかった。
でも……
「涼香、聞いてほしい。お前の寂しさは痛いほどわかってた。だからこそ、お母さんや琴音と仲良くして、みんなで楽しく暮らしたかったんだ。私には、工場もお母さんも琴音も、みんな大切だ。だけど……いつだって1番心配なのは、涼香、お前のことなんだ」
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