こぼれた牛乳を拭こうとリビングへ行く、そこに長女の正美が一人ソファーに座り、我関せずとゲームに熱中している
この子はこんなにも家族が騒いでいるのに関心がない、康夫はひそかにこの子は発達障害か、自閉症かもしれないと疑っていた
晴美はそんなはずはないと言った
家に帰ってきてから何回目のため息だろう、リビングを見回してみる
冷蔵庫に貼ってある幼稚園のお手紙、あれは先月のものだ
ダイニングテーブルに買い物袋ごと置いてある、今日買って来たものをどうして、いつも置きっぱなしにするんだろう
そして虫刺されの塗り薬・・・・また同じものを買っている、薬箱にまだあるのに
晴美は無駄遣いが多い、自分の渡した給料を大事に使ってくれない
朝飲んだままのコップ・・・
脱ぎ捨てられた服・・・
ぐぅ~・・・と腹が鳴る
「メシ何?」
「ハンバーグよ」
そう言いながら晴美は玉ねぎを切り出した。今から作るのじゃ最低ありつけるまで1時間はかかる・・・全てが要領が悪い
疲れて仕事から帰ってきているのにメシもない、我が家が少しも気の休まる場所じゃない
先輩の言葉がまた頭に浮かぶ、晴美は家事が下手で子育ても下手だった
なのに彼女は何の考えもなしにもう一人産もうとしている。こんな彼女一人で到底3人は育てられないだろ?そのしわ寄せは当然自分に回って来る
家族五人分と家のローンを稼いでこなければいけないプレッシャーを抱えながら、出世競争を戦っている自分に、その上家事や子育てまでさせる気でいるんだろうか?
早くに結婚するんじゃなかった、男なんだから30代でも遅くはなかった
康夫はギュッと目を閉じた
思いたくないのに・・・・
この結婚が失敗だったなんて・・・・
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