「お前らなぁ…、」
「てへ!」
『俺は悪くない。』
黒いスーツの男が白髪の青年と燈色の髪の少年の首根っこをつかみため息をついた
とある喫茶店。
黒いスーツの男は久々の一人の時間を満喫していた。
というのも、近頃はよく分からない現象に巻き込まれることが多く心が休まらなかったのだ
そのおかげで出来た友人や恋人もいるが、それとは別として休みたいのは普通だろう。
「…ん?」
チラ、と外へ視線を向けると、なにやら見慣れた頭と背丈の2人組が見知らぬ男に詰め寄られている
「あいつら…」
何となく嫌な予感がしたので不本意ではあるが会計を済ませ喫茶店を後にした
男が店を出た時には2人は男に連れられて路地へ入っていくところだった
「はぁー…無事でいろよ…?」
急いで追いかけてみれば……
「あっははは!セキュリティの”セ”の字もないお粗末なロックだねぇ?wこんなの情報ばらまいてくれって言ってるようなもんだよ?ww」
『おい、貴様は前にルブに手を出そうとしてたやつだよな?顔は覚えてるから誤魔化したって無駄だぞ。腕か足か首、どれか選ばせてやるよ。』
「淡乃!燈和野!!何やっとんのや!!」
「あれ?神田さんじゃーん☆」
『ん?…あぁ、神田さんか、少し待っててくれ、こいつを片付けてから…』
詰め寄っていた男が燈色の少年、燈和野に締めあげられ、スマホを白髪の青年、淡乃に奪われていた
想定内ではあるものの、神田はため息が抑えられなかった
「はぁ…燈和野、そいつを離せ。」
『いや、こいつは俺が…』
「……。」
「わぁっ、?!」
神田は燈和野を無理やり男から引き剥がし、淡乃の首根っこを掴んでスマホを取り上げた。
「あんちゃん、これに懲りたらナンパとかさっぶいことしとらんと、ちゃんとした素敵な人と真っ当に出会いや?ほれ、スマホも返したるから、な?」
男はスマホを受け取りこくこくと必死に首を振って足早に路地裏から逃げ出した
「あーあ、勿体ない……まぁいっか。重要なのは取れたし〜♪」
「あーわーのー?」
「僕に絡む方が悪い!」
『俺の恋人に手を出そうとしたのが悪い。』
「はぁ……」
自分を踏みにじられることを嫌う男と、大切な人を過剰に守ろうとする男2人に頭を抱えながら、彼らの過去を知っている神田は「自分がしっかり止めてやらなければ」と
2人を救えずとも止めてやるストッパーの役目を改めて自覚した
と、そして冒頭に戻る。
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