テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#リゼロ
すず
144
33
第95話『一歩の差』
中華連合武闘場。
本戦一回戦・第五試合。
呉鳳明
VS
なおきり。
なおきりの足が場外線へと吸い寄せられる。
ほんの数十センチ。
だが、その距離が勝敗を分ける。
観客席が息を止める。
「落ちる……!」
その瞬間。
なおきりは無理やり体をひねった。
地面を蹴る。
ギリギリで踏みとどまる。
砂が舞う。
場内にどよめきが走る。
呉鳳明は目を細めた。
「……今のを耐えますか。」
なおきりは肩で息をしながら笑う。
「まだ終わってない。」
呉鳳明は静かに頷く。
「ええ。」
「ですが、限界は近い。」
再び距離が詰まる。
なおきりが踏み込む。
一撃。
しかし呉鳳明はそれを受け流し、逆に重心をずらす。
なおきりの体勢がまた崩れる。
「くっ……!」
観客席で李牧が静かに言う。
「呉鳳明将軍は、戦場全体を一つの盤面として見ています。」
王翦も続ける。
「そしてなおきりは、その盤面の中で動かされている。」
なおきりは歯を食いしばる。
「だったら……!」
「盤面ごと壊す!」
一気に踏み込む。
これまで以上の全力。
だが――
呉鳳明は一瞬だけ目を閉じた。
そして開く。
「そこです。」
ほんのわずか。
なおきりの踏み込みの“癖”。
その瞬間を捉えた。
呉鳳明が半歩踏み込む。
なおきりの腕に軽く触れる。
力ではない。
方向の修正。
そのままなおきりの体がわずかに流れる。
「しまっ……!」
足が再び場外線へ。
今度はもう、戻る余裕がない。
呉鳳明は静かに言った。
「良い剣でした。」
そして。
決定の声が響く。
「場外!」
「勝者――」
「呉鳳明!!」
会場が大きく揺れるような歓声に包まれた。
なおきりは少し悔しそうに笑う。
「あと一歩か……。」
呉鳳明は歩み寄り、手を差し出す。
「あなたは強い。」
なおきりはその手を握る。
「次は勝つ。」
呉鳳明は短く答える。
「期待しています。」
観客席では、じゃぱぱとシヴァが拍手を送る。
「ナイスファイト!」
「すごかった!」
なおきりは手を振って応えた。
李丙が立ち上がる。
「第五試合終了!」
「続いて本戦一回戦・第六試合!」
項燕!
VS
顔聚!
楚の猛将と、斉の守護者。
重厚な戦いが、次に始まろうとしていた。
コメント
1件
いやあ、もうめっちゃ熱かった……!なおきり、あと一歩まで追い詰めたのに、呉鳳明将軍の“戦場を盤面で見る”冷静さが一枚上だったね。踏み込みの癖を読まれて半歩で流されるシーン、鳥肌立ったわ。なおきりの「盤面ごと壊す」って啖呵もカッコよかったけど、結果的に“一歩の差”が全てってのがシビれる展開。次に繋がる決着の仕方も好み🔥