――1階にて
「あ、戻ってきた!」
「ハァ、ハァ… すみません、お待たせしてっ」
「いえいえ、全然待ちますよ! じゃあ、行きましょうか。」
「はいっ!」
丸井さんは、急いで階段を下ってきてくれたらしい。
私はそんな様子を見て、少し嬉しくなった。
「……っ(ちょっと自分、嬉しいって何っ!)」
なんで『嬉しい』なんて思っちゃったんだろ…
あぁ、モヤモヤする… 私の感情、なんで私が分かってないの?
私が一番分かってなきゃいけないはずなのに……
「、どうかしました?」
「あ、いえ!さ、行きましょ!」
「? そうですね!」
そう少し急かして、私達はオフィスを後にした。
そして道をゆっくり歩きながら、こんな会話をしていた。
「あの… 敬語使うのやめません?」
私は、もうランチに行く仲になったのだとしたら、敬語は使わなくて良いと思った。
「! そうです、あっ、 だね!! えと、そうだねw」
「ふふっw まぁ、これからは友達として接することにしよう!」
「! うん…!」
丸井さん、私の言葉に 少し表情が曇ったような気がしたけど…
気のせいかな。
――まあ良いや。 でも、こうして「さん」付けして呼ぶのもアレだし…
本当は『元汰くん』って呼びたいんだけど… 自分から言うのは ちょっと恥ずかしいな…
タメ口で話しだしたとは言え、まだ仲は親密では無いし…
そんな事を考えていると、しばらく無言だった丸井さんが話しかけてきた。
「あのっ… 呼び方はどうすれば良いかな?」
「あ……(よりにもよってこの話題…)」
「…」
私達は同じことを考えていたのか、ただ歩き進めるだけだった。
___しばらくし、社会人として 私は覚悟を決めて話し出すことにした。
「私、元汰くん って呼んでも良い……?/」
「えっ!」
「!」
私がそう言うと、彼はすぐに反応した。
嫌だったのかな…?
「良いの…!?」
「え、良かった?」
「全然!逆に…」
「ん?」
「あ… な、何も無いです! 何も無いよ!」
「へ…?」
元汰くん、まだ敬語が混ざっちゃってる!
社会人なのに、可愛いな〜〜…
私は、無意識のうちに にやけてしまっていた。
なんか、子供みたいな会話ばかりしてる気が…
やっぱり元汰くんと一緒にいると、幸せな気がするなぁ…
一人でいるより、ずっと楽しませてくれる。
こんな人、理想だよねぇ…
「っ!?(またおかしい事考えてた!)」
「…っていうか、どこに行こうとしてるの?」
「あ、それがね… 魚料理の店なんだけど、知ってるかな?
ん! ちょうどあそこに見える店!」
この店は、信号を渡ってすぐの場所にある。
私はそこを指さした。
「あれ、こんな近くなんだ!」
「そう! 意外と穴場なんでね、あそこ!」
「確かに、誰も並んでない!」
そう、この店は味が美味しいのに、全然並ばずに入ることが出来ると評判なんだ。
「よし、早く入ろう!腹ペコ!」
「あははw そうだね!たらふく食べよう!」
「うん!!」
そして、私達は店ののれんをくぐった――
「いらっしゃいませー! 2名様ですか?」
「あ。はい。」
「では、お席ご案内しますね!」
「ありがとうございます。」
――席について
「えぇと… 何頼む?」
「私は…… 焼き魚にしとこっかなぁ。」
「焼き魚かぁ… 確かに美味しそうだなー。
でも、煮付けやフライも捨てがたい…っ どうしよーー?」
「ふふっ!」
「えw?」
「ううんw」
彼が頬杖をついて考える仕草が、あまりにも可愛すぎて…
思わず笑ってしまった。
こんなに男の人に癒やされたのは初めてだなぁ…
この仕事、ちょっと嫌になってきてたけど……
元汰くんと会えるなら… ちょっとぐらい、続けても良いかな。
――私は、元汰くんに何を求めてるんだろう…?
―――その感情と原因は、まだ分からないままだ…
コメント
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ねえどうすればいいの!?
アンインストールしちゃって でまたインストールしたの 『お金持ちるなさん』知ってるでしょ?
テラーノベルをアンインストールしちゃって、覚えてる? みるくあめさん分かる?あれ私なんだけど