「気持ちいい?」
奈美に近付いてきた豪が、耳朶に囁く。
彼女を見据えながら、長い指を膣の中に入れて、緩やかに律動させた。
「ああぁっ……あっ……あっ……んんっ……」
「俺が指を入れた途端、奈美ちゃんのアソコから愛液が溢れて……止まんねぇよ……」
彼の独り言なのか、彼女に向けた言葉なのか、欲情を滲ませながら女を犯しているように、声が掠れている。
花芯を撫でて自分を慰めながら、豪が中に指を入れて抽送している状況に、羞恥の熱が顔中に広がっていく。
恐らく、耳まで真っ赤になっているだろう。
(恥ずかしい……恥ずかしすぎる……)
いたたまれない気持ちが急激に襲い、奈美は豪の鋭利な眼差しから逃れるように、顔を俯かせた。
豪に自慰行為を見せる事は、ある意味、屈辱的な事なのかもしれない。
楽しんでいるのか、蔑んでいるのか分からない、読み取りづらい彼の表情。
このラブホに来てから、彼は奈美に『いやらしい』『エロい』ばかり言っている。
(私たちの間柄は、舐めて舐められる、ただ、それだけの関係……)
自分でまいた種というのは、分かっているはずだった。
豪は、奈美といると甘い部分を見せるけど、そこに隠された本心は、彼にとって彼女は、ただ淫らな事をするだけの女にすぎないのだろう。
自身を慰めながら、奈美の中に様々な気持ちが押し寄せてきた。
恋心を寄せている人の前で晒す、醜態と羞恥心。
なのに、虚しさ、寂しさ、悲しさ、やり切れなさが込み上げ、感情という名のロープで首を絞められている感覚に陥る。
(苦しい……すごく…………苦しい……)
自分の想いを、どこへ持っていけばいいのか分からず、抱え込む事しかできなくて、心が悲鳴を上げている。
気付くと、頬に水滴が幾筋も伝い、白いキャミソールにポツポツと染みを作っていた。
鼻を啜る音で我に返ったのか、豪が彼女を呼ぶ。
「…………奈美ちゃん?」
彼は手の動きを止め、指を引き抜きながら、訝しむ面差しで、奈美の顔を覗き込んだ。
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