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「さて…………そろそろ俺の家に戻るか」
これ以上、この話をしたくないのか、圭が美花の手を繋ぎ、立ち上がりながら指先を絡めてくる。
「う……うん」
歩き出した二人は、秋の色に染まっているモノレールの線路下を、緩やかな歩調で歩く。
「美花」
圭が立ち止まり、彼女と向き合うと、長い指先が明るいストレートロングの艶髪に触れられる。
「俺は……君が好きだ。それだけは…………覚えておいてくれ」
目力の強い涼しげな瞳に射抜かれる美花は、顔を熱らせながら俯いた。
「私も…………圭ちゃんが……好きだよ……」
上目遣いで圭を見やりながら、か細い声で返すのが精一杯の美花。
「なら、早く戻ろう。美花と…………二人きりになりたい」
彼が彼女に手を差し出すと、繊麗な手が大きな手のひらに包まれる。
美花は、キュッと握ると、節くれだった手も呼応するように、握り返してくれた。
そんな些細な事に、ちょっとした幸せを感じ、心がじんわりと温かくなって美花は嬉しい。
嬉しいはずなのに、寂しさと悲しさが複雑に混ざり合う感情が、心の中で腫れ物のように付着している。
駅前の喧騒から逃れようと、圭の歩調が次第に速くなり、あっという間に彼の住むマンションに到着した。
圭が玄関の扉を開き、二人は中に入った。
洗面所で手洗いとうがいを済ませ、廊下に出たその時。
彼の腕が伸びてきて、彼女は筋張った腕に抱き寄せられながら、壁に縫い付けられた。
「…………美花っ」
吐息混じりに彼女の名前を呼ぶ、低くて甘美な声音。
男の色香を滲ませた瞳と、強い眼差し。
美花を壁際に押さえ込む、筋張った手。
互いの視線が絡み合うと、顔を傾けてくる圭に、唇を塞がれた。
恵