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レイブはかなり焦った感じで返す。
「き、奇跡? それに脅威の力ぁ? 俺には取り立てて言うほどの技は無いんだけどなぁ~、強いて得意な事といってもぉ、この学院では一番『鋼体術(こうたいじゅつ)』が上手って事位とぉ、後は対人格闘術位かなぁ~? ああ、煮込み料理も絶品だって皆に褒められるけどぉ…… そう言うのを教えれば良いの?」
この言葉を聞いてもラマスはキョトンともせずに笑顔で返す。
「私が師叔(ししゅく)、叔父様から教えて頂きたいのは只一つ、特別な力を使用する方法でございます! 本来なら師匠シパイに教えて貰う事が筋なのでしょうが、先程お伝えしたとおり、シパイ師匠は人々の為に結界を張り続ける事で手一杯、瀕死の状態で頑張っておりますので、叔父様から教えを受けるしか他に手段が無い、そんな訳でこちらに参った次第なんですよぉ」
「と、特別な力……」
「はいっ! 実は私、小さい頃から周りの皆と違って生活魔法が使えなくてですねぇ、周囲の手助けを受けて何とか生きてきた、所謂(いわゆる)厄介者だったんですよぉ~…… そこに魔力災害でした…… 避難した村の仲間の中で、何の役にも立たなかった私はシパイ師匠の世話係りをする事になったのです、一日中結界を張り続け動く事もままならない師匠の飲食の世話と下の世話、体のあちらこちらがムズムズした時には掻いたりして差し上げて…… あと、疲労が限界になってしまいウトウトされた時に結構強めにぶって差し上げたりですとか…… あ! 決して本気でぶったりはしておりませんよ、いつも鼻血がでるとかその程度のダメージですから…… 歯が折れた事なんてほんの四、五回ですからぁ♪」
「歯…… 四、五回……」
唸るようなレイブの呟きに対しても、ラマスは相変わらずの笑顔で言葉を続ける。
「はい五本、いいえ六本でしたか? でもご心配なく! 私が腫れ上がった師匠の頬を撫でておりましたら、翌日には全て再生してしまいましたので♪」
「えっ? 折れた歯が、さ、再生? したの?」
「はいっ」
即答であった。
「ほ、ほうっ、そ、それでぇ?」
どれほど時代が進み生活魔法などが当たり前になっている世界とは言え、失った永久歯が再生するなんて事は、やはり、異常な事だった様でレイブの瞳は驚愕に大きく見開かれてしまうのであった。
額からもタラタラと汗を滴らせ、見るからにビビリ捲っているレイブに対して、ラマスが良い笑顔で答えた言葉はこうである。
「私って今言った通り生活魔法が使えないんですよね、んで里の大人達に薦められてシパイ師匠の下で魔術師を目指す事になったんですけどね、弟子入りした直後にシパイ師匠が因果混沌領域(カオスティックフィールド)展開を始めてしまってですね、魔解治療すら受ける事も出来ずに放置されてしまったんですよ…… んで、ここに行けって言われたんですよぉ~、レイブさんが魔術師修練所、聖バストロ学院に居るみたいだから施術を受けて来い、ってぇ!」
思った以上にドライな理由を聞いたレイブは何と無く答える。
「あ、ああ、そうなんだ…… まあ、ここには魔術師が沢山居るからねぇ、俺じゃなければ魔解施術位だったら何度でも受けれると思うけどぉ?」
「はいはい、そうなんですよ♪ それでですね、施術後にアタシのピンク掛かったオレンジの魔力が鎮まらなかったら師叔、レイブ叔父様にちゃんと教わる様にシパイ師匠からきつく言われて来ましたんですよ!」