若井 side …
「着きましたよ」
「ありがとうございます、!」
タクシーが元貴の家の前で停車する。俺は運転手に代金を渡し、礼を言ってタクシーから降りた。外は少し肌寒く、冷たい風が耳を刺激する。
「さっむ」
俺はパーカーのポケットに両手を突っ込んだ。そして、ゆっくりと元貴の家の前まで向かう。
「…着いた」
元貴の家の前に着く。元貴の家は、都内のマンションだ。俺は冷えた指先で元貴の家のチャイムを押した。
ピンポーン
暗く静か夜。チャイムの音はよく響いて聞こえる。またしてもボーッとしていたその時だった。ゆっくりと扉が小さく開いた。
「…若井?」
元貴が怯えた瞳で俺を見上げる。いつもの君だ。
「うん、来たよ」
すると元貴は扉を完全に開け、俺を家の中へと誘導した。俺は元貴の家へと入っていく。
元貴の家に入ると、空気が一変した。外とは違って、暖房がきいていて暖かい。そして家中から元貴の香りがする。優しくて、どこか中毒性のある香り、目を瞑ると今にも体が溶けてしまいそうな、甘くて爽やかな香りだ。
元貴がリビングへと歩き出す。廊下は暗くて元貴の姿もよく見えない。俺はよく見えない視界の中、元貴の背中を追いかけリビングへと入っていった。
「…お邪魔します」
「どーぞ」
リビングも暗いまま。俺がリビングに入るなりすぐに立ち止まっていると、それで察したのか元貴がリビングの電気をつけた。
「ごめん、暗かったね」
「全然」
俺は部屋の真ん中に置かれたソファに腰をかける。その時、今までよく見えなかった元貴の姿を初めて直視した。
「…え、?」
元貴はブカブカなワイシャツを着ていて、下は何も履いていないように見える。てか元貴、なんであんな大きなサイズのワイシャツ持ってんの?頭の中がはてなで埋め尽くされる。
「元貴…服装…」
つい口から思ったことが零れた。すると元貴は特に恥ずかしがることはなく、ワイシャツの裾を手で伸ばしながら話した。
「…着替えてた途中で、」
「あ、…そっか」
着替えてた途中に俺が来たって事だよね?ずっとこの格好って訳ではないよね?
すると、元貴がゆっくりと俺の方へ歩み寄ってきて、俺の隣に腰を下ろした。
「寂しかったの、?」
優しく問いかけると元貴は少し俯き、ワイシャツの裾を抓りながら呟いた。
「…やっぱ夜嫌い、怖いもん」
元貴の目は少し赤くなっていて、今にも涙が零れそうになっていた。俺はそんな元貴に更に問いかける。
「元貴は1人が嫌い?」
「…うん」
元貴が小さく頷く。
これだよ、これ。俺はこの時間があるから夜が好きなんだよ。
まだ行為へとは行きませんよ…?😏 ((
次のお話で行くか行かないか、かな?
作者も行為のシーンが楽しみです🫶🏻 ((
ではまた次のお話で^^
コメント
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事件です。すきです。