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3月19日金曜日放課後。
外は雨。
でも準備室の空気が重いのは、そのせいじゃない。
理由は、今後一週間の天気予報と予想天気図。
いわゆる春雨前線が本州上にかかってきている。
ここ一週間は動かないだろうとのこと。
天気図の西の端の方に発生している低気圧も気がかりだ。
「この天気図では、27日以降もあまりいい天気は期待できないのです。風もきっと強いと思うのです。気象庁の予報でもそうなっているのです」
未亜さんが、天気予報等の情報を簡潔にそう説明する。
「キャンプ場のキャンセル無料は今日までだよ」
彩香さんの台詞。
そう。
今、皆で悩んでいるのは、『天気が悪そうだけれども、春合宿を中止にするべきか』ということだ。
天気図で見る限り、先行きはあまり良くない。
でも、一週間後のことだから、ひょっとしたら変わるかもしれない。
ただ、晴れたとしても、前線や低気圧の影響で風が強い可能性も高い。
でも一週間後のことだから……
以降、その繰り返し。
美洋さんや未亜さんが春休みに実家に帰るため、予備日程は無い。
また、今回は先生も先輩も決定には参加しない。
1年生5人で決めろとのことだ。
時計が午後4時30分を過ぎた。
「そろそろ材料も理由も出尽くしたと思うのですよ」
未亜さんが言う。
「そうだね」
「なら、採決しましょうか。5人で」
「仕方無いのだ」
亜里砂さんも頷いた。
よし、なら僕も声を出すとするか。
「なら採決を取ろう。キャンセルしたほうがいいと思う人、手を上げて」
そう言って、僕も手を上げる。
見ると、未亜さんはもとより、美洋さんも、亜里砂さんも、彩香さんも手を上げていた。
「なんだ、亜里砂もキャンセル派だったのか」
今までの会話では、当日にコースを変えるとか、天気が変わるかもしれないとか言っていたのに。
「討論には反対意見も必要なのだ」
「なら、全員一致でキャンセルとするのですよ。そんな訳で、電話をかけるのです」
未亜さんがそう言って、電話をかける。
「はい、27日から2泊予約した竹川です。はい、はい。それで申し訳無いのですが、天候があまり良く無さそうなので、はい、はい、そうです。ありがとうございます。それでは失礼致します」
電話を置く。
「キャンセルしたのです。これで春合宿は、残念ながら中止なのです」
「ま、仕方無いな」
俺は努めて明るく言う。