テラーノベル
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だてあべ(めめさく、なべこじ要素有り)
『ゆり組ジャスティス!』
ずっとそう言い続けてきた。実際2人の関係は特別だと思うし、尊いとも思ってる。
でも最近、少しだけ胸が痛む瞬間があるのを自覚した。
だって舘様、優しいから。
翔太だけじゃなく俺にも優しいから。だから勘違いしちゃうんだよ。
普段からゆり組は距離が近い…何てことはあんまりない。
あまりベッタリと一緒にいるわけじゃなくて、お互いにとって心地良い距離感を知ってるんだろうなって感じ。
でもお互いに何かあった時にはすぐに察知する。
幼馴染ってやっぱり特別だ。
「阿部ちゃん阿部ちゃん、康二から聞いたか?」
「えっ、何を?」
ある日の楽屋、佐久間がこそこそと耳打ちしてきた。
康二? 何かあった?
「康二、翔太に好きだって告白したんだって。するつもりっていうのは蓮から聞いてて、もしもの時は俺と蓮に慰めてくれって言ってたんだけど」
「え、ちょっと待って。したってことは、もう事後ってこと?」
「うん、まあそうなるな。それで当日に俺と蓮、いつ連絡来てもいいように2人で待ってたんだけど」
無意識にその日はめめと2人で過ごしてたことを暴露してるけど。まあ、めめと佐久間が常にイチャついてるのは今に始まったことじゃないし…ほっとこう。
それより、翔太の返事が気になる。
「でもその日は連絡なくて。次の日の朝に『お付き合い始めました』って康二から連絡がきてさ。何か一晩明けるまで現実か信じられなかったんだって。そういうとこ、康二可愛いよな」
「それはそうだね。じゃなくて! え、ということは翔太の返事はオッケーだったってこと…?」
「うん、そういうこと。全員が集まる日に報告するって言ってたからさ。多分今日だと思うし、阿部ちゃんには先に言っておこうかなって。ゆり組大好きな阿部ちゃんがびっくりして倒れちゃったら大変だから」
そう言って笑う佐久間に、上手く笑い返せた気がしない。
翔太が康二と? じゃあ、舘様は?
舘様と翔太が恋愛込みの関係だと思ってたわけじゃないけど。でも明らかに、お互いを特別に想ってるのは伝わってきてた。だから全くなかったとは言い切れない。
舘様は、どう思ってるんだろう。
「…舘様は、知ってるのかな」
「さあ、どうだろ。翔太から報告あったかもしれないけど、そこまでベッタリな2人じゃないからなぁ」
「そうだね…」
翔太のツンな性格なら、舘様にも報告してなくても納得出来る。
「…気になるなら、涼太に聞いてみたら?」
「えっ?」
「翔太から聞いてるのか。聞いてたら、正直どう思ってるのか。阿部ちゃんになら答えてくれると思うけど」
「そ、そんなこと俺が聞いて大丈夫かな…」
「言ったじゃん、阿部ちゃんなら答えてくれるよ」
逡巡していると控室の扉が開く音がした。
見るとめめが入ってきたところだ。雑誌の撮影をしてからって聞いてたけど、確かにスタイリングがばっちり決まったままだ。
「蓮、おはよ!」
「おはよう、佐久間くん。阿部ちゃんも」
「うん、おはよう」
「蓮、そのスタイルいいな! かっこいいじゃん!!」
ニコニコしながら恋人を褒め始める佐久間に、めめも蕩けそうな笑顔になってる。
いちゃいちゃ始まるのが早いんだよ! めめが楽屋入ってきて1分もたってないよ!! もうやだこのバカップル。
「阿部ちゃん阿部ちゃん」
「…何だよ」
「俺と蓮、ちょっと外に出てくるからさ。その間に涼太と話してみなよ。阿部ちゃんなら大丈夫だから」
「え、でも」
「いいからいいから! 涼太は阿部ちゃんに特別甘いの、知らないんだな」
「えっ、それ、どういう…」
「じゃーな。頑張れ阿部ちゃん!」
混乱する一言を置いて、佐久間はめめと連れ立って楽屋を出ていった。後に残ったのは俺と、奥のブースで着替えてて実はずっといた舘様。
簡易の扉もあるし一度も顔を出して来てないから、こっちの会話は聞こえてないはずだけど。それでも何だか気まずい。
その扉がかちゃりと開いて、舘様が姿を現す。
「あれ? 阿部、さっき誰か来てた? 佐久間もいなくなってるし」
「えっ、あっ、さっきめめが来て! 佐久間と一緒にどっか行っちゃった」
「ああ。相変わらず仲良しだな、あの2人」
そう言って舘様がふふっと笑う。しょうがないなって感じの、優しい笑み。
俺が今からする質問も、しょうがないって笑ってくれるかな。
「…あの、舘様。こんなこと聞いていいのか分からないけど…」
「ああ、もしかして翔太のこと? 良かったよね」
「えっと、知ってたの?」
「うん。翔太が康二のこと好きなのも知ってたし、伝えたら? ってずっと言ってた。康二に先越されちゃったみたいだけど」
くすくす笑いながら言う舘様は相変わらずロイヤルで、悲しいとか寂しいとか、負の感情は見当たらない。
むしろ、幼馴染を心から祝福しているように見えた。
「…ありがとう」
「えっ? な、何でお礼?」
「心配してくれたみたいだから。幼馴染に恋人が出来たからって落ち込まないから、大丈夫だよ」
俺の的はずれな心配も、ちゃんと受け取ってくれるんだ。
そういう優しいところがさ、刺さるんだよ。多分舘様は自覚してないんだろうけど。
「まあでも、俺も人のことは言えないから。康二を見習って頑張ろうかな」
「どういう意味?」
きょとんと首を傾げると、舘様がじっと俺を見てる。「あざといなぁ」って笑いながら一歩こちらに近付いてきた。
「翔太は幼馴染だし、特別だよ。でも。俺の本当の特別は阿部だからね」
「………えっ? ええっ?!」
「やっぱり全然気付いてなかったか。そういうことだから、覚えておいて」
「え、お、覚えてって…っ?」
「俺に口説かれる覚悟しとけってこと」
そう言って笑った顔は、ロイヤルというには少し治安が悪くて。
口説く必要なんてないくらい舘様にドキドキしてしまっていることを、どうやって伝えようか考える。
ああもう、舘様のそういうギャップに弱いんだよ、俺。
初めて書いただてあべ。自分の中のだてあべ像を形にしておきたくて、勢いで書き上げました。需要は分かりませんw
さっくんは阿部ちゃんの視線の先に舘様がいるのにずっと気付いてました。そして舘様からも、阿部ちゃんと仲良しなのを羨ましがられていたので「早くくっつけー!」とやきもきしてたという裏設定がありますw
いつ何時でもさり気なくめめさくを出してしまうのは僕の悪い癖なのでそっとしといてください。『相棒』好きですw
こんな感じでカプ問わず投げっぱなしにしていくので、よろしければお付き合いください。
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