次の日になって。
俺は───・・・。……じゃなくて…俺───クロノアは、少し気分が舞い上がりながらもポストに手を伸ばした。
もちろん、気分が舞い上がっている理由はわかっている通り昨日の盗賊団の人たちと過ごしたことだ。…なんというか、すごいよね。あんな賑やかなんだ。
それに…
(───優しかったな。)
胸が熱くなるほど、優しくて。なんというか……人の気持ちに寄り添うような人たちだった。それはもうほんとにすごいくらい。…あんな人たちが盗賊団やってるなんて、思いもしないよな。
そう思いながらも、俺は手に持った新聞を家の中で読み始める。
「…あ。」
ふと、見出しになっている”あの盗賊団たち”に目がいく。今回はどうやら豪華飲食店で食べ物に毒が入っていると盗賊団が暴いたらしい。…その代わりというべきか、店のものはほとんど盗まれ、毒が侵食していない部分の食べ物全て持っていかれたらしい。
「…ふふっ。 」
何だか、こっちまで嬉しくなる。何でかはわからない。けれど…この人たちの記事を見るだけで、少し気分が上がるんだ。
そう思って、新聞を閉じた時だった。
「「おっじゃましまーす!!」」
ふと聞こえた、2人の声。それは昨日と同じほどの明るさ…いや、それ以上にも思える大きな声に、俺はびっくりする。
「ぺ、ぺいんとさんとしにがみさん?!」
なんとも、昨日に続いて今日も俺の家に来た。…しかも、なんかめっちゃ大荷物だし。どうしたんだ思えば、2人は俺の家にズカズカと上がってき、そして俺の手に持っている新聞を奪われた。
「…うんうん!いい感じに俺ら映ってるね〜!」
ぺいんとさんが上機嫌でそう口にすると、しにがみさんも面白そうな笑みでそれを見た。
「クロノアさん、今日もご飯食べさせてくれませんか?」
新聞紙を眺めているぺいんとさんを置いてしにがみさんは申し訳なさそうに懇願してくる。俺は別に賑やかなほうが嬉しいので遠慮なしに即答でOKと答えた。
そうして、今日は昨日よりも少し豪華なご飯を作る。…けど。
「───・・・な、なんでそんな俺のこと見てるの?」
料理中にも、2人は俺のことをガン見していた。その質問に少し焦りながらも、2人は沈黙。大きな間が空いた後、ぺいんとさんが口を開いた。
「・・・俺たち、実は人探ししてて。その話、少し聞いてくれませんか?」
ふと言われた真剣な物言いに、俺はNOと答えることはできなかった。
そうして俺は料理を作り終え、机には昨日よりも少し豪華で量の多いご飯が並べられた。そうして、ぺいんとさんとしにがみさんの話は始まる。
「───ほんと、数年前のことなんですけど…」
コメント
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待って!!!!!!!大好きなんですが!!!!!! あ初コメ失礼します✋️ 関係性がわかりやすいし読みやすくてほんとにだいすきです!!!! フォロー失礼します🤝🤝