コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
魔王さまに、王都では国と並ぶようにして商工会があると伝えた。
そして、その商工会の会長――トップが、国王も交えての和平会議をしたがっていることを。
いつもの寝室、これから始まる夜の時間の前に。
「快諾していたと伝えろ。そもそも、あいつらはしつこ過ぎるんだ。いい加減諦めてもらうのに丁度いいだろう。和平を蹴れば、今度こそ国王の首を挿げ替えてやる」
「わ、わかりました。快諾と伝えますね。あ、それと……今の国王は、魔王さまを封印させた時の王とは代替わりしているみたいですよ」
そろそろ私を押し倒そうと、肩を抱いていた魔王さまの手が止まった。
「何? そうだったのか。俺を封印してこの三十年、何もしてこなかった理由はそれか」
「スパイとか忍ばせていないんですか?」
諜報機関みたいな部署はないのだろうか。
「あぁ、辺境伯からの情報に頼っているな。その程度なら爺で止まっている情報だろう」
「え、爺が勝手に止めちゃっていいんですか?」
ファル爺、魔王さまに怒られちゃう?
「構わん。些末な事をいちいち報告するなと言ってあるからな」
「さまつ……。フフッ、これが些末だったら、大事な情報ってどんなことですか?」
魔王さまは、本当に爺も他の皆のことも、本当に信頼しているんだ。
……決して、サボりたいわけではない……はず。
「王国の事なら、挙兵してきたとか、妙な兵器を作っていないかとか、そういうのだな」
「それは、かなりの一大事ですね。寝ていられないくらい」
「そうだ。この時間が少し奪われてしまう。一大事どころではないぞ」
――睡眠時間のことを言ったつもりなのに。
「わ、私となさるのを、国の一大事と天秤にかけないでください。それに、数時間で治めるって……絶対に全滅させてますよね」
「ああ。一発でかいのをドーン、だ」
そう言いながら、魔王さまは人差し指を立てて、くるくると宙をなぞった。
何か大きな魔法を放つイメージでもしているのかもしれない。
そしてその指先を、すぐに私の額に押し当てた。
「もう……。魔王さまなら、戦争する前に止められそうですのに」
私の言葉を聞いているのかいないのか、そのままベッドに向けてぐいぐいと押してくる。
早く倒れろと、私の頭を揺らして遊びながら。
「今の国王は知らんが、当時はとことんまで引かない馬鹿だったからな。事前にどうこうしてやる意味が無かったんだ」
「そうだったんですね。差し出がましいことを言って、すみません」
私はちゃんと話をしたいのに、ついに根負けして押し倒されてしまった。
「構わんさ。それに、そういう事前にどうこうというのは、爺に任せているから安心しろ」
「そ、そうなんですね。爺……たいへんそう」
このまま、話をしながら?
そんな器用なマネが、私に出来るだろうか。
「サラ。俺と居る時に爺の肩を持つのか。けしからんやつだな。お仕置きをご希望か?」
「やっ、ちょっ、ちょっと……魔王さま……」
――いつの間に、こんな状態に?
一応、大事な話をしていたはずなのに。