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『……お付き合いをしていく中で、答えを決めさせてください……。
私にも……本当に愛していきたいと思うのかを、考えていく時間がほしいから……』
抱かれる熱を感じながら、自分からそう言ったのにも関わらず、未だに答えを出せないでいることが、申し訳ないようにも思えてくる。
目の前の彼に、全てを委ねてしまえればいいのにと、頭では思うけれど、揺れ動く気持ちは、絶えず切り替わるみたいで、
たった一言、ただ「好き」と口に出せないことが、自分のことながら、もどかしくなるようだった……。
そうして、自らの気持ちがなかなか定まらないまま、何度かデートを重ねる内──
少しずつだったけれど、彼のことがわかってきたようにも感じていた。
ただ以前よりは彼を理解はできても、それを愛情と受け留めていいのかどうかまでは、まだ心を決めかねているところもあった。
「……どうか、されましたか?」
デートの最中にひとり思い悩んでいると、テーブルを挟んで向かいの席に座る彼に、ふと声をかけられた。
フレンチレストランで、コース終わりのコーヒーを口にしながら、
「……何か、気になることでもあるのですか?」
彼の方から、気づかうようにそう訊ねられて、
「気になるって、わけでも……」
返答に困って、目の前のカップをソーサーから手持ち無沙汰に持ち上げた。
もやもやと落ち着かないような気持ちは、どう話せば伝えられるのかが、私自身もよくわからないでいた……。