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『またね』という言葉を最後に、あれから佐久間とは1度も会えていない。


無期限の活動休止だそうだ。休止内容は一身上の都合。勿論、ファンの間では様々な意見が飛び交った。

体調不良、不祥事、更には『佐久間くんグループ抜けようとしてるのかな?』などという憶測まで。

仕事で同じになったタレントさんから『佐久間くん何があったの?大丈夫?』と聞かれることも少なくなかった。けれど、俺は疎かグループの誰も理由を知らず、適当に受け流すことしか出来なかった。


佐久間が活動を休止してから1週間後。


康「うわーん!さっくん会いたいよー!泣」

ラ「ちょ、康二くん落ち着いて?」

辰「なんか、不思議だよね。」

亮「うん、ロケの時めっちゃ元気だったもん。」

照「体調不良説は無しだな…。」

蓮「かと言って不祥事も全く無いですよね。」

涼「そうだね。」

翔「…となると……。」


『脱退』


全員の頭の中に1番あって欲しくない2文字が浮かび上がる。もし本当にそうなんだとしたら止めなきゃいけない。


亮「帰りに佐久間の家行ってくるよ。」

辰「あ、お願い出来る?」

照「頼んだ。」

亮「任せてっ!」




仕事終わり佐久間の家に行くと部屋の明かりが消えていて、インターホンを押しても誰も出てくる気配は無かった。また明日来てみて居なかったら諦めようと思い、帰路に着いた。

家路を急ぐ途中、街頭のない真っ暗な公園でキラリと何かが反射して見えた。気になってそこに行くと、俺より少し低い人影と桃色の髪が見えた。その瞬間、『佐久間だ。』そう確信して足を早めた。


案の定そこに居たのは佐久間だった。佐久間は俺に気づいていないのか、月を見つめてふらっと立っていた。

けれど、佐久間の着た半袖の服から覗いていたのはいつもの白くて綺麗な腕ではなく、桃色の鱗だった。


大「……?」

亮「あっ、さく……」


話しかけようとした瞬間、佐久間は血の気の引いた顔をして、走って公園を飛び出してしまった。『今を逃したらもう会えない。』そんな気がして佐久間を追いかけた。何度見ても佐久間の腕は桃色の鱗が街頭や車のライトに照らされて反射していた。

俺は佐久間のほっそりした手首を掴んで捕まえた。


大「……っ!…!!!!」

亮「ちょっと、佐久間!ねえ!」


佐久間は必死に抵抗して、俺から逃げようとした。


亮「何があったのか聞かせてよ!」


そう言った瞬間、佐久間は抵抗するのをやめてゆっくりと歩き始めた。その後ろを着いていく。その間、交わされた言葉は何一つとしてない。

着いた場所は佐久間の家。佐久間は何も言わずに家にあげてくれた。


沈黙が続く中、初めに行動を起こしたのは佐久間だった。スマホを取り出してメモに文字を打っていた。


大[ごめんね、黙って休止して]

亮「ううん、理由あるんでしょ?」

大「……。タッタタタッタッ」


部屋に響くのは画面をタップする音と空調の音。佐久間と一緒に居るのに、なんだか不思議な感覚だった。




to be continued…

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