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【アルベルトSide】
視界が、深紅のノイズで埋め尽くされている。
いや、それは私の網膜が焼けているのではなく
目の前で荒れ狂うエカテリーナ───
今や「魔女」へと零れ落ちた彼女が放つ、高密度の魔力が大気を灼いているのだ。
「エカテリーナ……ッ!」
戦慄と共に口を突いて出る。
だが、その叫びは彼女には届かない。
彼女の瞳からはハイライトが消失し、底なしの虚無が、ただひたすらに私を───
この場に存在するすべての生命を「敵」と定めていた。
「ああああああああああああッッ!!」
獣のような咆哮。
直後、彼女の手にした二丁のリボルバーが
魔法回路の暴走によって歪な形状へと変貌し、物理法則を無視した弾速で魔弾を撒き散らす。
私は咄嗟に防御結界を展開するが、衝突の瞬間に衝撃が脳を揺らした。
重い。
今の彼女の攻撃には、一発一発に「存在を抹消する」とでもいうような純粋な殺意が宿っている。
彼女の背後を取ろうと地を蹴ったが、彼女は振り返りもせず、空いた左手で虚空を薙いだ。
鎌のような衝撃波が私の頬を掠め、背後の廃墟を粉々に粉砕する。
味方であるはずの私を、彼女はもはや認識していない。
あるいは、自我そのものが暗黒の海に沈み、反射だけで動く殺戮兵器と化してしまったのか。
(……それでも、エカテリーナを失うわけにはいかない)
私はさっき、ブロンクスの魔法によってエカテリーナやダイキリ同様に幻…夢を見せられていた。
私が視たのは、遠い昔の記憶
スラムに住んでいた幼少期
実の両親からは「あんたなんて産まなきゃよかった」と虐げられ、たった一人の妹からは出来損ないの兄貴として罵倒される毎日だったこと
どうしてこんな過去を見せるんだ、と考えたが
「お前たちが一番望んでいたものを与えてやる」なんて、ブロンクスは言っていたことを思い出し
自分の本当の姿、名前について私は知りたがっていた。だからこんなものを見たのかもしれない。
コロナリータと名乗った少女にあそこまで拒絶反応を示していた自分に納得もいった。
私をずっと罵倒していた、トラウマの核にもなっていた妹…リリィだったのだから。
リリィ…いや、コロナリータが話していたように、家が襲われたのは本当だった。
だが、コロナリータが話していたことは、違いすぎた。
両親は、男3人組…その後私の養父となる実施者・アルダープと
改造前のブロンクスと、MASTERという男に買い取られそうになった私を
「助けようとして打たれて死んだ」なんて
コロナリータの全くのデマカセだったこともこの夢で分かった。
妹が大事だから
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