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実家を売却した数千万の資金は、私と里奈で折半……
という名目で、私がその大半を管理下に置いた。
だが、里奈の浪費は加速する一方だった。
彼女は健一の父親から毟り取った金でブランド品を買い漁り、連日ホストクラブに通い詰めていた。
「ねえ、奈緒さん。今月の取り分、もう少し増やしてくれない?健一のパパ、もう絞ってもカスしか出ないし」
里奈は我が家のソファに横柄に寝そべり、健一に剥かせたフルーツを口に運ぶ。
健一はもはや感情を失ったロボットのように、里奈の口元へ淡々とフォークを差し出していた。
「里奈さん。私たちはパートナーであって、私があなたのパトロンではないわ。…それに、最近のあなたの素行、ナオミのフォロワーたちに気付かれ始めているのよ」
「はぁ?ネットの奴らなんてどうでもいいわよ。あ、健一! 手が止まってる!もっと丁寧に剥きなさいよ、この無能!」
里奈が健一の頭を足で小突く。
その瞬間、私は確信した。
自分の美学に反する「下品な暴力」と「規律のない浪費」
里奈という駒は、もはや私の復讐劇にとって、ノイズでしかなかった。
(……そろそろ、毒は一箇所にまとめたほうが良さそうね)
私は健一をキッチンへ呼び戻し
彼にだけ聞こえるような小さな、けれど「ナオミ」の甘さを孕んだ声で囁いた。
「……健一さん。里奈さん、最近少し怖いわね。あなたをあんなに乱暴に扱って。……私、見ていて胸が痛むの」
健一の肩が微かに震えた。
「……奈緒、お前が…それを言うのか?」
「ええ。正体を知られても、私はあなたの妻よ。……里奈さんは、あなたをただの『金』としか思っていない。でも、私は違う。……ねえ、健一さん。里奈さんがいなくなれば、あなたはもっと楽になれると思わない?」
私は彼の手を握り、里奈がブランドバッグの山に埋もれて眠るリビングを指差した。
「里奈さんがホストクラブで使っている金の出処…あれ、実は部長の隠し口座から盗んだものだって、警察に匿名通報があったらどうなるかしら?彼女、執行猶予中だったわよね」
健一の目に、暗い光が宿る。
自分を最も直接的に、肉体的に痛めつける里奈。
彼女さえ消えれば、この地獄が少しだけ和らぐのではないか。
そんな毒入りの「希望」を、私は彼に飲ませた。
「……俺に、何をしろって言うんだ」
「彼女のスマホから、部長の口座へログインした履歴を送信するだけでいいわ。…あなたがやれば、彼女はあなたを恨むでしょうね。でも、私があなたを守ってあげる」
健一は、かつて里奈を選び、奈緒を捨てた。
今、彼は私の指示で、里奈を地獄へ突き落とす準備を始めた。
◆◇◆◇
その夜───
リビングで酒に酔い潰れた里奈の傍らで、健一は震える指で彼女のスマホを操作した。
私はその背後で、冷たいワインを飲みながら、駒たちが共食いを始める様子を眺めていた。
「……できたぞ、奈緒」
「いい子ね、健一さん」
翌朝
我が家の前にパトカーのサイレンが鳴り響いたとき、里奈はまだ夢の中だった。
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#大人ロマンス
#サレ妻