最近、少し痩せた。
もともと細身だけど、忙しさもあってか頬がこけた気がする。
そんなつもりはなかったけど、確かに忙しくて食べる時間も減ってたし、差し入れの弁当を残すことも多かった。
「翔太、最近ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ」
そう返したものの、涼太の視線は鋭かった。
仕事を終えて帰ってきたら、テーブルにずらっと料理が並んでいた。
どれも俺の好きなものばかり。
「え、これ……涼太が作ったの?」
「うん」
「すげぇ……めっちゃうまそう」
驚きながら箸をとると、涼太が静かに微笑む。
その顔を見てたら、なんだか胸がじんわりと温かくなった。
「涼太も忙しいんだから、作ってくれなくてもいいのに。」
ふとそう言うと、涼太は当たり前のように言う。
「だって、柔らかい方がいいだろ?」
「……ん?」
一瞬意味が分からなくて、考え込む。
──柔らかい方がいい? ……柔らかい?
数秒後、ようやくその意味に気づいた瞬間、耳まで熱くなる。
「……っ!!」
思わず顔を真っ赤にして、涼太の腕をぺしっと叩く。
「涼太のバカ……」
涼太が余裕たっぷりに微笑む。
「何、変なこと考えてんの?」
その言い方が、ますます俺を恥ずかしくさせる。
わざとだ……絶対わざとだ。
「最近ちゃんと食べてるとこ見ないから、作っただけだよ?」
「……食べてるから」
「だったら、もうちょっとふっくらしてるはずだろ?」
「……それ、どういう意味?」
じとっと睨むけど、涼太は涼しい顔でさらっと言ってのける。
「つまり、翔太はもうちょっと柔らかい方がいいってこと」
低く囁かれて、背中がゾクリとする。
「っ……! はぁ…」
思わず顔を背けたけど、耳まで赤くなってるのが自分でも分かる。
「ほら、ちゃんと食べろよ」
「……分かったよ。……涼太が食べさせてくれたら、もっと食べるかも」
「……はいはい。ほら、あーん」
ちょっとした意地で口を開けると、涼太は呆れたようにため息をつきつつも、箸を口元へ運んでくれた。
「ん、美味しい……」
幸せそうに目を細めると、涼太がじっと俺を見つめてきた。
「それにちゃんと栄養つけないと、夜もたないからな」
「っ……もう知らん、」
顔を背けた俺のの耳は、自分でも分かるくらい赤くなっていて。
「そんな顔して……後で後悔しても知らないよ」
低く囁かれて、体がピクリと反応する。
「な、何……」
「別に?」
余裕のある笑みを浮かべたまま、涼太は何事もなかったかのように箸を置く。
コメント
3件
ゆり組…いい…
いいなー。しょっぴー💙もっと読みたいなあ
最高すぎる!