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4 - 「いっぱい食べる君が好き」❤️💙

♥

371

2025年03月29日

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最近、少し痩せた。

もともと細身だけど、忙しさもあってか頬がこけた気がする。

そんなつもりはなかったけど、確かに忙しくて食べる時間も減ってたし、差し入れの弁当を残すことも多かった。


「翔太、最近ちゃんと食べてる?」

「食べてるよ」


そう返したものの、涼太の視線は鋭かった。

仕事を終えて帰ってきたら、テーブルにずらっと料理が並んでいた。

どれも俺の好きなものばかり。


「え、これ……涼太が作ったの?」

「うん」

「すげぇ……めっちゃうまそう」


驚きながら箸をとると、涼太が静かに微笑む。

その顔を見てたら、なんだか胸がじんわりと温かくなった。


「涼太も忙しいんだから、作ってくれなくてもいいのに。」


ふとそう言うと、涼太は当たり前のように言う。


「だって、柔らかい方がいいだろ?」

「……ん?」


一瞬意味が分からなくて、考え込む。

──柔らかい方がいい? ……柔らかい?


数秒後、ようやくその意味に気づいた瞬間、耳まで熱くなる。


「……っ!!」


思わず顔を真っ赤にして、涼太の腕をぺしっと叩く。


「涼太のバカ……」


涼太が余裕たっぷりに微笑む。


「何、変なこと考えてんの?」


その言い方が、ますます俺を恥ずかしくさせる。

わざとだ……絶対わざとだ。


「最近ちゃんと食べてるとこ見ないから、作っただけだよ?」

「……食べてるから」

「だったら、もうちょっとふっくらしてるはずだろ?」

「……それ、どういう意味?」


じとっと睨むけど、涼太は涼しい顔でさらっと言ってのける。


「つまり、翔太はもうちょっと柔らかい方がいいってこと」


低く囁かれて、背中がゾクリとする。


「っ……! はぁ…」


思わず顔を背けたけど、耳まで赤くなってるのが自分でも分かる。


「ほら、ちゃんと食べろよ」

「……分かったよ。……涼太が食べさせてくれたら、もっと食べるかも」

「……はいはい。ほら、あーん」


ちょっとした意地で口を開けると、涼太は呆れたようにため息をつきつつも、箸を口元へ運んでくれた。


「ん、美味しい……」


幸せそうに目を細めると、涼太がじっと俺を見つめてきた。


「それにちゃんと栄養つけないと、夜もたないからな」

「っ……もう知らん、」


顔を背けた俺の耳は、自分でも分かるくらい赤くなっていて。


「そんな顔して……後で後悔しても知らないよ」


低く囁かれて、体がピクリと反応する。


「な、何……」

「別に?」


余裕のある笑みを浮かべたまま、涼太は何事もなかったかのように箸を置く。

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コメント

3

ユーザー

ゆり組…いい…

ユーザー

いいなー。しょっぴー💙もっと読みたいなあ

ユーザー

最高すぎる!

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