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俺は艦内の部屋でソファに腰かけてデスクの上のモニターを眺める。俺の部屋は整理整頓されているともそうでもないともとれる部屋だ。壁にはいくつかの設計図や地図が飾ってある。床には書籍や服が散乱。 俺にとっては規則的なんだが、他の人間はそうとはみなさないらしい。特にルドルフのような人間はそうだ。
「アル、開けてもらえますか?」控えめそうにミゲルがノックをして訪ねてくる。
「もちろん。」俺はそう言って彼に入室の許可を与える。そして自分の座るソファの左隣を指差し、彼に座るように呼びかける。彼はいつも通り、俺の横に座って、尋ねてくる。
「何を見ていたんですか?」
「ヘルモスの地質調査記録とヘルモスの市内地図を見ていたんだ。何事も多面的な視点で認識して解析えること から全てが始まる、よくアカデミーで教わったただろ?」俺はモニターにヘルモスの資料を表示しつつ、そう述べる。
「で、見つかりました?」
「幸運なことにね。ヘルモス工科大学は2つのキャンパスを市内に保有している。自然科学や社会科学系のゾーン1と応用科学系のゾーン2だ。そしてゾーン2の広大なキャンパスのいくつかには閉鎖された建物がある。そしてそこは地質学的に見るとかなり安定している。地下に拠点を建設するなら、ここが一番一目がつかないだろう。少なくとも俺ならここに設置するな。」そう言って俺は3Dレンダリング処理された地理情報を見せる。
「機材や人員の搬入はどのように?」
「俺もそれを考えた。でもうまくやる方法があったのさ。ヘルモス工科大学は地元のスタートアップが開発したデリバリーロボットが広大なゾーン2キャンパス全域で導入されている。そしてメインの物流センターがあるのは閉鎖されたビルなんだ。人員についてはおそらくこれだ。」
「学生や教職員向けのシャトルバスルート?」
「キャンパスが主体的に運行するオンデマンドバスと、地元当局の資金で運行される路線バスの併用ではあるけどね。物流センター周辺がバスターミナルとしても利用されている。それにしても考えたものだ。学生、教職員、貨物が一番派手に行き来する拠点を秘密の研究センターとして利用するとは。でも拠点が1つということはないはず。だから今ヘルモス工科大学へ搬入された貨物の発送元と発送された住所を照合しているんだ。おっと見つかった。研究用の資材名目で元政府高官から大量に発送されてい る、これは国際貨物? 発送元はヨーロッパ共和国?かなり厄介なことに足を踏み込んでいるような気がする。自分は首都に緊急の連絡を入れてくるよ。艦長にもこのことを伝えておいてくれ。頼んだよ、ミゲル。」俺はそう言って立ち上がる。相当深刻な事態に俺たちは直面している可能性が高い、そして俺には政府高官に知り合いがいる。少し指揮系統には矛盾が生じる可能性はあるが、俺が政府の閣僚たちに直接伝えるべきだと思う。おそらくミルズ艦長も俺の行為を容認するだろう。俺はその知り合いの政府高官のことをあまり好ましい人間だとは思わないけど、彼が俺に対してしたことに感謝している面もある。俺を取り巻く環境は本当に複雑だな。
誰かが自分の職務で罪を犯した場合、その者は国家全体に災厄をもたらすことになる。ピョートル大帝(ロシアの皇帝)