さて今回は、美洋さんと未亜さん、それに亜里砂さんが新装備を持ってきていた。
寝袋だ。
「雪山に行くと言ったら、お父さんが送ってきたんです」
美洋さんと未亜さんは、マットとシュラフ、それにシュラフカバーという一式が新装備。
それを見て、先生が色々と言う。
「お父さんは、山の経験があるのかな。大学の山岳部で雪山とかも行くような人がよく使うタイプですね。あえてダウンではなく、化繊綿がしっかり入っているものを選んだのでしょう。
冬専用というより、組み合わせ次第で真夏の平地以外、高山から平地まで使える汎用性とタフさ重視ですね。三層構造の頑丈なカバーを付けているところや短めのマットも含めて、間違いのない装備です」
「私のはどうなのだ。何だか、しわしわなのだ」
亜里砂さんのものは新品ではないけれど、かなりコンパクトでふわふわなシュラフだ。
「これは、ダウンのボックス構造ですね。これを大学の山岳部で使うとお金持ち扱いされます。それくらい、いいものです。ただ水に弱いので、一緒についてきたシュラフカバーを必ず使ってあげて下さい。
寒さへの耐性としては美洋さんや未亜さんのものとほぼ同じで、マイナス一桁でも快適に眠れるタイプですね。
しわしわなのはダウンのシュラフである以上、仕方ないです。むしろ正しく使うと、そうなってしまうんです。その代わり、とにかく軽くて小さい。よく知っている達人向けという感じですね」
そして僕と彩香さんと先輩は、先生からの借り物。
彩香さんと先輩のものは、亜里砂さんのものと似た感じ。
僕のものと先生のものは、美洋さん達と同じようなタイプだ。
「さすがに先生も、いつものカバーだけじゃないか」
「あれは本来はカバーですからね。今日は、ちゃんと中にシュラフを入れます。こうして二重構造にすることで、シュラフ単体の性能以上に、温かく眠ることが出来るんです。
それにダウンは濡れに弱いですから、使う時は出来ればカバーも併用してあげて下さい」
「中綿が化繊とダウン両方あるけれど、どっちがいいのだ?」
「使う人と、シチュエーション次第ですね」
先生はそう言って続ける。
「同じ温かさなら、ダウンの方が圧倒的に小さく軽くなります。その代わり、濡れると一気に保温力が落ちます。
それにダウンは時々、陰干ししたり手入れをしたりしないと、ふわふわ感が持続してくれないんです。汚れにも弱いですしね。だから、大きさや軽さを取るかタフさを取るかです。どっちがいいというより、その人の方針や考え方ですね。
あと寝袋が多少いい加減でも、カバーを付けてあげれば、それなりに寒さには耐えられます。ただしっかりした寝袋カバーって高いんですよね。そこそこいい寝袋と同じくらいの値段をしたりしますし。
美洋さん達のカバーは頑丈で、単体でも使えるタイプです。
亜里砂さんのカバーは二層タイプで、軽く小さくなるんですけれど強度はあまりないので、必ず寝袋と一緒に使ってあげて下さい。亜里砂さんのお父さんは寝袋も含めて、軽さと小ささを重視したんでしょうね。それも間違いなく正解なんです」
「値段的には、亜里砂のやつが一番高そうだけれどさ。多分そのクラスの寝袋、買うと三万以上はするぞ」
そんな感じで。
女性陣はついでに、それぞれの寝袋やマットの寝心地も確かめている。
「私の寝袋、何か軽くて頼りないのだ。未亜達の方が、しっかり布団感があるのだ」
「ダウンだとそんな感じになります。でも、温かさは十分ですよ」
「収納袋の大きさも、一回り違うね」
「値段と手間の差だよな。やっぱり」
そんな感じだ。






