テラーノベル
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休日の夜。
ソファに並んで座る二人。
テレビでは音楽番組が流れていた。
凛花は画面を見ながら、どこかそわそわしている。
海斗:……。
凛花:……。
海斗:楽しそうだな。
凛花:今日出るんだよね。
海斗:誰が?
凛花:SixTONES!
海斗:ああ。
凛花:しかも新曲!
海斗:そうなんだ。
海斗はコーヒーを飲みながらテレビを見る。
数分後。
司会者の声が響いた。
「続いては――SixTONES!」
凛花:きた!!
海斗:お。
凛花は一気に前のめりになる。
凛花:大我くん今日もビジュ良すぎる…
海斗:……。
凛花:え、待ってかっこいい。
海斗:……。
凛花:笑った!
海斗:……。
凛花:髪型好き。
海斗:……。
海斗はちらっと隣を見る。
凛花は完全にテレビヘ夢中。
海斗:凛花。
凛花:うん?
返事だけして、目はテレビのまま。
海斗:……。
海斗:凛花。
凛花:うんうん。
海斗:聞いてないだろ。
凛花:聞いてるよ?
海斗:俺の顔見て言って。
凛花:今ちょっと無理。
海斗:即答。
凛花:サビだから!
海斗:負けた。
曲が終わる。
凛花:最高だったぁ……。
満足そうに息をつく。
その瞬間。
海斗はそっとリモコンをテーブルへ置いた。
海斗:終わった?
凛花:うん!
海斗:じゃあ。
海斗は凛花の肩へ寄りかかる。
凛花:え?
海斗:俺の番。
凛花:どうしたの?
海斗:今日ずっと大我とかいうやつしか見てなかった。
凛花:え?
海斗:俺、一回も見てもらってない。
凛花は目をぱちぱちさせる。
凛花:……もしかして、
海斗:ん?
凛花:嫉妬?
海斗:違う。
凛花:違うの?
海斗:違わないけど違う。
凛花:どっち。
海斗:……ちょっとだけ。
凛花は吹き出した。
凛花:かわいい。
海斗:かわいくない。
凛花:拗ねてる。
海斗:拗ねてない。
凛花:拗ねてるじゃん。
海斗:拗ねてません。
凛花は笑いながら海斗の頬をつつく。
凛花:大丈夫だよ。
海斗:何が。
凛花:推しは推し。
海斗:うん。
凛花:彼氏は海斗。
海斗:……。
凛花:だから安心して。
海斗は少しだけ口元を緩める。
海斗:じゃあ。
凛花:うん?
海斗:俺のこと見て?
凛花:見てるよ?
海斗:もっと。
凛花:もっと?
海斗:五分くらい。
凛花:長いなぁ。
海斗:大我みたいな人は十分見てた。
凛花:それはそうだけど。
海斗:はい。
海斗は凛花の前へ少し身を乗り出した。
自然と目が合う。
凛花:……。
海斗:……。
凛花:照れる。
海斗:俺はさっきずっと我慢してた。
凛花:ごめんって。
海斗:許そうかな。
凛花:ありがとう。
海斗:でも。
海斗の手がゆっくり動く。
凛花:……?
海斗:少しだけ仕返し。
凛花:え。
海斗の指先が脇腹へちょん、と触れた。
凛花:ひゃっ!
海斗:反応いい。
凛花:びっくりしただけ!
海斗:ほんと?
次は両脇腹をこちょこちょ。
凛花:あはっ!ちょ、待って!
海斗:俺よりテレビ見てた罪。
凛花:そんな罪ある!?
笑いながら身をよじる。
海斗は逃げないように軽く肩を支えた。
凛花:あははっ!やっ、くすぐったい!
海斗:大我っていう人かっこよかった?
凛花:かっこよかった!
海斗:素直だな。
こちょこちょ。
凛花:きゃははっ!
海斗:俺は?
凛花:海斗もかっこいい!
海斗:『も』?
凛花:あっ。
海斗:追加。
指先が脇腹を素早くなぞる。
凛花:あはははっ!やだやだ、ごめん!
海斗:俺は?
凛花:海斗が一番!
海斗:ほんと?
凛花:ほんとだからっ!
海斗:好き?
凛花:好きっ!
海斗:誰よりも?
凛花:誰よりも!
海斗はようやく手を止めた。
凛花は笑い疲れて海斗の肩にもたれる。
凛花:ひどい……。
海斗:満足。
凛花:嫉妬するとくすぐるの?
海斗:たぶん。
凛花:困る。
海斗:じゃあ次から俺もちゃんと見て。
凛花:見る。
海斗:約束。
凛花:約束。
少し間が空く。
凛花:でもね。
海斗:ん?
凛花:推しは推しだから、ライブ映像は止められないよ?
海斗:……。
凛花:あ。
海斗は無言で両手をゆっくり上げる。
凛花:待って待って待って!
海斗:もう一回聞こうか。
脇腹をこちょこちょ。
凛花:やっぱり海斗優先!
逃げようとする凛花をガッチリ両足で凛花を囲むように逃げ場をなくした。
海斗:最初からそう言えばよかったのに。
凛花:あははっ!降参だから!
海斗は笑って手を引っ込めた。
凛花は胸をなで下ろす。
海斗:今日はこれくらいで許す。
凛花:助かった……。
そう言いながらも、凛花は海斗の腕にそっと寄りかかる。
海斗は満足そうにその肩を抱き寄せた。
テレビでは次のアーティストの歌が始まっていたけれど、今度は凛花の視線はちゃんと隣にいる彼氏へ向いていた。
コメント
1件
あー、もうめちゃくちゃ可愛い回でしたね! 海斗くんの「拗ねてないけど拗ねてる」感が完璧で、くすぐりの仕返しも甘すぎてニヤけが止まらなかったです。凛花が推しに夢中になる気持ちも分かるし、「彼氏は海斗」って言いながらも最後まで推し活は止めない宣言するところもリアルで好きです。設定の積み方じゃなくて、会話のリズムと間で関係性を見せる構成、本当におしゃれだなと思いました。
#葛葉
コマさん
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