BEASTの小説のあとがきに書いてあったifをパクリました。 太中です。
「おい!太宰!!」
大声で名前を呼ぶ中也を真上から見降ろす、きっと気づいている。少なくともこの部屋にいることはバレている。
「上にいるのは分かって__」
次の瞬間、飛び降りて直ぐに中也の帽子を深く押し込む。多少の時間稼ぎにはなるだろうという心算だったが果たして。
「気づいていたなら焦らさないでよ!中也!」
「うるせぇ青鯖!!」
わいわいと、騒がしい探偵社内、一方外は鳥の鳴き声が響く程静かだ。それもそのはず、現在時刻5時30分、歩道にはひとっこひとり居ない。
「…あんたら、朝から五月蝿いねぇ、」
「与謝野医師?!いつから…」
「お早よう御座いまーす、」
「あ、手前!逃げんな!!」
四年半前、マフィアを抜ける卦度一緒に来ないかと冗談混じりで云うと、泥酔してたのもあるかもしれないが、さらっと承認されたのだから驚いた。だがそれももう四年半前の話だ。
探偵社に入ってからは早かった。超人的な頭脳の太宰は作戦を立てる時を主に活躍し、重力を操る、強力な異能の中也は戦闘は勿論、個性派揃いの中を上手く纏めあげた。協力すれば敵無しの二人はいとも容易く成績を出して行った。
無口な社長、福沢諭吉。
生真面目な次期社長、国木田独歩。
破天荒な先輩、江戸川乱歩。
異能を使って治療する女医、与謝野晶子。
その後は気弱な兄とその妹、谷崎潤一郎に谷崎ナオミ。
のほほんとした田舎っ子、宮沢賢治。
孤児院育ちの人虎、中島敦。
「あぁ、そうだ中也、」
「ンだよっ…!」
急に立ち止まってはハッとした様な顔を浮かべて中也を見る。
「私これから任務なんだけど、着いてきて。」
「どんな」
「銃の密売の取り締まり恐らく異能者は無し。」
「報告書は手前が出せよ」
いつの間にやら出社していた社員達に挨拶をして任務に向かう。なんやかんやで時計を見るともう既に6時30分。探偵社の朝は早い。
「糞……太宰其方!」
「分かってる!」
大きく音を立て銃が撃たれる。だが、太宰には殆ど当たらない。特別避けている訳では無いのだが、頬を掠れた岳でそれ以上の外傷は見当たらない。自身も特別痛む場所は無い。汚濁を使うには少々狭い。
「キリがねェな…太宰!!」
「嗚呼…、もう善いんじゃないかな。」
そこら辺の瓦礫を軽くし、粉々に砕きそのまま蹴りつけると、破片が戦場に降り注ぐ。事前に、”敵に異能者がいる”場合こうすると決めていた。
「ふぅ……お疲れ、中也」
「手前もな、」
ぱちん、と音を鳴らし手が当たる。満足そうに笑う太宰を放置し、探偵社に戻ろうと歩を進めると太宰から声が掛けられる。
「今日は寄り道して帰ろう、」
「いつもの事だろうが」
何時もならふらりと何処かに消えるのだが、まぁ宛もなく探す羽目になるくらいなら、多少付き合ってやるかと思いついて行く。
「結局来てくれるなんて…流石私の犬!!」
「犬じゃねぇし手前のでもねェ!国木田さんに怒られたら手前のせいだからな?」
「国木田”さん”ねぇ、」
「あぁ?ンだよ、」
「別に…?商店街でも行こう」
ぐいっ、と手を引かれる。今日はなんだかいつもより面倒臭い気がするが、こういう時こそされるがままにしていた方が楽なのは分かってる為大した抵抗も無く商店街に着く。
「何するんだよ…」
「予定より15分早いでしょ?暇つぶしだよ。」
「はいはい、」
予定…ではなく理想帳なるものを持ち歩いている上司を思い出すと、時間ぴったりの方がいいか、などと思えてきて、斜め後ろから隣に移る。長い15分になることだろう。
結局、途中までは普通だったが、帰路に着いた途端川に飛び込んだ太宰によって5分遅れることになった。が、日頃の行いと今回の任務の成果によって見逃されたのだった。
コメント
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俺も後書き読んで神っっっー!って思ってたので書いてくださるなんて!ありがとうございました