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#闇バイト
るしゅ
847
油味噌
17
2,331
翠
36
俺が生まれた日。
その日に。
俺の名前が。
204号室にあった。
ありえない。
俺は。
まだ生まれていない。
なのに。
どうして。
「……父さん」
俺は写真を見せた
「これ」
父さんの顔が。
一瞬で変わった
「どこで手に入れた」
「Rから」
「……」
「この写真に写ってる男」
俺は写真を指差す
「誰なんだよ」
父さんは答えない
「父さん」
「……」
「この男」
「蓮なのか?」
父さんが。
黙った
それだけで。
俺には十分だった
「……蓮なんだな」
「違う」
「じゃあ誰だよ!」
父さんが。
写真を奪い取る
「これは」
「お前が見ていいものじゃない」
「なんでだよ!」
「悠真」
「俺の名前が書いてあるんだぞ!」
俺は叫んだ
「俺が生まれた日に!」
「俺の名前が!」
「204号室にあった!」
父さんは。
何も言えない
「どういうことだよ」
「俺は」
「生まれる前から」
「何かに巻き込まれてたのか?」
「……」
「答えてよ」
父さんは。
ゆっくり口を開いた
「お前の名前は」
「俺が決めた」
「じゃあ」
「どうして写真に?」
「それは」
父さんが。
言葉を止める
「俺が書いたからだ」
「……え?」
「204号室に」
「お前の名前を書いた」
俺は。
頭が真っ白になった
「なんで?」
父さんは答えない
「俺が生まれる前に?」
「ああ」
「どうして?」
「……」
「父さん!」
「お前を守るためだ」
俺は。
息を止めた
「守る?」
「そうだ」
「誰から?」
父さんは。
写真を見る
「Rからだ」
俺は。
理解できなかった
「Rから俺を守るために」
「俺の名前を204号室に?」
「そうだ」
「意味が分からない」
父さんは。
しばらく黙っていた
そして。
一つの箱を取り出した
古い。
小さな箱
「これは」
「お前が生まれた日に」
「204号室に置いてあった」
俺は。
箱を見る
「中身は?」
「知らない」
「え?」
「俺は」
「開けていない」
「なんで?」
「開けたら」
「お前を守れなくなると思った」
俺は。
箱を受け取った
「じゃあ」
「俺が開けてもいい?」
父さんは。
答えなかった
俺は。
箱を開ける
中に入っていたのは。
一枚の紙
そして。
小さなUSBメモリ
紙には。
一行だけ
**『神谷悠真へ』**
俺の手が。
震えた
「……俺宛て?」
美咲が。
隣から覗き込む
「開いてみよう」
俺は。
USBを握る
でも。
父さんが言った
「やめろ」
「なんで?」
「それを開いたら」
「全部終わる」
「何が?」
「お前の人生が」
俺は。
父さんを見る
「もう終わってるよ」
「……」
「俺が闇バイトに応募した日から」
「俺の人生は」
「普通じゃなくなった」
俺はUSBを見る
「だったら」
「今さら怖がる理由なんてない」
俺は。
USBをポケットに入れた
「これを開く」
「悠真」
「ごめん」
俺は父さんを見る
「もう」
「父さんの言うことは聞けない」
俺と美咲は。
家を出た
外は。
暗かった
「どこで開く?」
美咲が聞く
「分からない」
「じゃあ」
「私の家は?」
俺は。
少し考えた
「ダメだ」
「どうして?」
「美咲の母親がいる」
「あ」
俺たちは。
同時に黙った
「じゃあ」
「どうする?」
俺は。
スマホを見る
Rから。
メッセージが来ていた
**『USBを手に入れたね』**
俺は。
すぐに返信する
**『何が入ってる』**
既読
**『君の出生記録』**
俺は。
息を止めた
「出生記録?」
美咲が聞く
「うん」
俺は。
画面を見る
さらに。
メッセージが届く
**『でも』**
**『一つだけ』**
俺は。
待つ
そして。
次のメッセージ
**『君が知らない名前が書かれている』**
俺は。
眉をひそめる
「知らない名前?」
**『そう』**
**『君が生まれた日に』**
**『同じ病院で生まれた子供』**
俺は。
息を止めた
同じ病院
同じ日
俺と。
もう一人
俺は。
蓮を思い浮かべた
「……蓮?」
Rから。
返信が来る
**『違う』**
俺は。
固まった
「違う?」
美咲を見る
「どういうこと?」
俺は。
スマホを見せる
美咲の顔が。
青ざめる
「じゃあ」
「もう一人って」
俺は。
Rに送る
**『誰なんだ』**
既読
でも。
返事は来ない
「おい」
俺は。
もう一度送る
**『誰なんだよ』**
既読
返事なし
俺は。
スマホを握る
その時。
知らない番号から。
電話がかかってきた
「……誰?」
俺は。
電話に出る
「もしもし」
返事はない
「もしもし?」
しばらくして。
女の声が聞こえた
『……神谷悠真さん?』
俺の背中が。
冷たくなる
「誰ですか」
『あなたは』
「……」
『自分が一人っ子だと思っていますか?』
俺は。
息を止めた
「……何?」
『違います』
「あなたは」
『生まれた時から』
『二人ではありません』
俺は。
言葉を失った
「どういう意味だよ」
『あなたの出生記録には』
『三人の名前があります』
「三人?」
『神谷悠真』
『神谷蓮』
そして。
最後の名前
女は。
その名前を口にした
『もう一人は』
俺の。
知らない名前
『神谷――』
その瞬間。
電話が切れた
「……」
俺は。
スマホを見つめる
美咲が。
俺の顔を見る
「悠真」
「……」
「今の電話」
俺は。
答えられない
ただ。
一つだけ。
分かった
俺と。
蓮。
そして。
もう一人。
俺たち三人は。
同じ日に生まれた
でも。
俺は。
その三人目を。
知らない
その時。
ポケットの中のUSBが。
突然。
震えたような気がした
俺は。
ゆっくり取り出す
USBの側面に。
小さな文字が刻まれている
**『204』**
俺は。
それを見つめる
そして。
気づいた
204号室の謎は。
俺が生まれた日から。
始まったんじゃない
もっと前から。
俺たち三人が。
生まれることを。
誰かが。
待っていた
(第五十二話へ続く)
コメント
1件
「自分が一人っ子だと思っていますか?」…もう、この台詞で一気に引き込まれたよ。悠真が生まれる前から名前が204号室にあって、父親がわざと書いたって設定がすごく重い。Rの存在も含めて、全部が「計画」の一部だったんだね。しかも三人目の名前が出てきて電話が切れる終わり方、続きが気になりすぎる。るしゅさんの伏線の張り方、本当に繊細で怖いほど美しい。この闇の深さ、ちゃんと受け止めたよ。続き、静かに待ってるね🥀