テラーノベル
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🌸「………うっ、……うぅッ………」
頭に響く鈍い痛みとともに、眉をひそめながらゆっくりと目を開けた。
視界に飛び込んだのは、崖崩れの後に出来た土煙と無数の岩だけらの光景だった。
🌸「私…生きてるの?」
体を起こして手足を確認した。奇跡的に頭をぶつけた時に出来た軽い打撲以外外傷はなかった。痛みに耐えながら頭を抑えてゆっくり一歩一歩進んだ。その時──
「うぅ…」
低いうめき声が聞こえ、私は視線を走らせた。
そこにいたのは巨大な岩に足を押し潰され、身動きが取れなくなっている山吹色の鬼だった。
🌸(チャンス……!)
私は刀を握りしめる。一瞬頭の中で任務という2文字の言葉が浮かぶ。今なら、動けない鬼を簡単に倒すことができる。
でも、その鬼は下敷きになった足から出血していてとても苦しそうだった。ボロボロと涙を流していて命を奪う化け物とはどうしても見えなくなる。
🌸(全く…仕方ない)
刀を一旦収めて鬼の元へ行き、必死に岩を押し上げた。
🌸「今から岩動かすから足を抜く力を入れて!」
🍁「わ、分かったッ…!」
私は岩を頑張って押し上げた。重すぎて腕がちぎれそうだった。
🌸「一つ聞きたいことがある」
歯を食いしばりながら、引っかかっていた問いをぶつけた。
🌸「どうして私を助けたの…?私はあんたを倒すためにこの山に来たのに…ッ」
🍁「だ、だって…危ないって思ったら体が勝手に動いちゃって… 」
苦しそうに弱々しく喋る。
🍁「君を…守りたかったから。助けたかったから………」
その言葉に胸の奥がドクンっとした。
🌸(守りたかった?鬼が…人間を?)
本当にこの鬼は、お師匠様が言っていたような『人間を恐怖のどん底に落とす恐ろしい化け物』なのだろうか…。新しい疑問が生まれ、頭がぐるぐるする。
なんとか岩をどかした。彼の足は大量の出血で動けそうになかった。私は懐にあった手拭いを使って彼の足の傷口に巻き付けて応急処置をした。
🌸「私は桜(さくら)。……あんたは?」
🍁「え?こ、琥珀(こはく)」
🌸「そう、琥珀ね。今回は運が良かっただけ。次は必ずあんたを倒すから」
わざと冷たく言い放つ。彼は痛みに耐えながらも笑顔を見せた。
🍁「うん……。でも、助けてくれてありがとう桜ちゃん……!」
濁りのない、純粋な優しい笑顔。
その表情を見て、私はますます疑問が膨らんでいく。
手当てを終え、私と琥珀は偶然にも同じ高さで目が合った。私と同じ158cmの目線。そして───
🌸「あんた…その目………」
🍁「え………?」
琥珀の瞳は鬼特有の恐ろしい瞳ではなかった。
倒すことだけ考えてたため、琥珀の瞳は見ていなかった。鬼は基本的に黒みがかかった赤い瞳が多い。だけど、琥珀の瞳は真っ黒だった。
🌸「私と同じ…黒い瞳………!」
🍁「あっ…本当だ」
私は村の人間から、黒い瞳は『闇を意味する不吉な瞳』だと言われ、疎まれてきた。
琥珀は他の鬼たちから、黒い瞳は『何も持たない無の色』だと言われ、不吉に思われていたという。
けれど、私の瞳を見て目を輝かせて笑顔になってた。不気味に思われてるのではないかと思った。
🍁「桜ちゃんと同じ瞳嬉しいな〜。でも、桜ちゃんの瞳は夜の空みたいで、とっても優しくて綺麗な瞳だね」
🌸「…………っ!?」
今までこの瞳で不気味だと嫌われてきたことでコンプレックスに思っていた。
その私が初めてこの子に『優しい』と褒めてくれた。
同じ背丈、同じ誰も味方をしてくれなかった真っ黒な瞳。
───そして、同じ嫌われ者。
あまりにも沢山のお揃いを持つ目の前の鬼に、私はどうしても自分と重ねてしまう。
To be continued
コメント
3件
わあ、第2話、めっちゃ良かった…! 桜が助けるか♡♡♡かで迷って、結果的に琥珀を助けちゃうところ、すごく人間らしくて好き。 「同じ黒い瞳」「同じ嫌われ者」ってとこで二人が重なる描写、グッときたわ。 特に琥珀の「桜ちゃんの瞳は夜の空みたいで優しい」ってセリフ、最高に尊い。 続きが気になる!早く次読ませてくれ🔥
れお(1週間猫化)
320
#ギャグ時々シリアス??
꒰ঌソラ໒꒱
10
#恋愛
もな
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