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話の通じない奴らを適当にあしらって、元いた場所に戻ろうとしているその帰路。

「なんであんなバットタイミングで現れるの?」

「んな事言われても、ねぇ?」

「これものすごく面倒なことになるんだよ?」

「そんなん我知らん。」

「ダメな大人の次は責任逃れのクソトカゲか…」

「だいぶ真っ向から罵倒するくらいには感情が戻って来ていて我としても嬉しい限りだよ?」

「それは皮肉かしら?」

「もちろん」

「ちっ……」

先程の出来事は村からすれば私が古の竜を従えて”滅ぼすぞ”といういわゆる宣戦布告のように受け取られても仕方ない事が起きた訳だが、別に私はあの村を滅ぼそうなんて微塵も考えてない。何故ならもう私はあの村の関係者ではないからだ。もうあの村を出ると共に”ハル”という名を捨てて”ナミハ”という人物として生きていくことにしたからだ。

だが、そんなことは彼らからすればどうでもいいことで『私が村に竜と共に現れた』という事実が問題視されてるのだから。

「それで?ナミハはどうするつもりだ? 」

「どうするもこうするもほっとくわよあんなの。宣戦布告と捉えられたとしても、あの村にはもう用ないし…」

「そうか?我が以前話したようにあの少年との仲を取り戻さないとお主の目的は達せられない。つまりは、嫌でもあの村とは関係が続くと思うが?」

「うっ…」

リョクカの言うことは最もである。そもそも私がこうして生き長らえてるのは、リョクカの目的の『私を食す』と言う目的のため、そして私はこの世界に絶望し『自ら死を望む』存在である。言うなればお互いがお互いの目的のために利用している利害関係ということ。しかし、その過程の中でユウヤという少年と仲違いしてしまい、その状態で私を食したところで美味くないという理由で、今現在まだ生きている。このままではお互いの目的は達せられない。そして、達するためにはあの村との接触は避けては通れない道である。

「一番手っ取り早いのは少年以外を滅ぼしてしまうことが早いな」

「それはなしの方向で…」

「その理由は?」

「何度も言ってる通り、私はあの村に対してもう何も思ってない。恨み辛みの有無を問われたらあるけども、そこに労力を使いたくない。それと、騒ぎ散らしてるのは大人で子供は何も思ってないため、殺るにしても罪悪感が残る。だからパス 」

「なるほどねぇ……。最もらしいが、我からすれば大人に限らず子供も処していいと思うがな。」

「それはアンタが竜だから……」

「いいや?そんなチンケな理由ではない。もっとちゃんとした理由がある。」

「じゃあその理由を聞かせてよ」

「まず、アンタがあの村から嫌われている理由はその痣から竜を連想させるからだよな?」

「えぇ、こんな痣ごときで私はあの村では忌み子として扱われてきたわ」

「そして次に先程の出来事により、相手方には明らかに敵意を持って村を滅ぼすというイメージを持たれてしまっている。ここまではいいな?」

「もちろん」

「では、ここからが問題の話になってくる。あの村では竜=厄災ということになっており、それを連想させる君も疫病神のような状態だ。」

「あの場面で我が意図せず現れたことで厄災と疫病神のコンビが目の前に出てきてるわけになるのだが、この出来事を村中に知らせるとした時、目にした大人達はなんと知らせる?」

「そんなの”忌み子が竜を従え復讐に来た”しかないだろ?」

「その通り。そして村中に伝えるということは必然的に子供にも伝わる。」

「何が言いたい?」

「つまり我が言いたいのはあの村にいる以上子供にとって”知る世界”はあの村の大人の話しかないという事実だ。無垢な彼らはその大人達の言葉を真実として受け取り、その村で育っていく。そうするとどうなるか、想像は着くな?」

「……今の大人と同じ変な伝承を信じ込む奴らが出来上がるってことね」

「そう言うことだ。」

「だから我は大人子供関係なしに滅ぼせと話している。」

今の話を聞いて反論できる隙がない。あの村は世間的に見ても辺境の地にある。そのため、外界との交流なんてほとんど無いに等しい。そんな村で育った子は確かに”大人”の話す世界が全てだ。それ故に悪しき風習というか伝承というかは消えることは無い。そしてそれが意味するのはまた、私のような『標的』が生まれ、負の連鎖は断ち切れないと思う。けど…………

「あんたの話してる通りそれが一番の解決案かもしれないが、私はあの村とは絶縁した。だからこそ、私はあの村に対してそこまでする必要はないと思う。」

「ほぉ?」

「そんな悪しき風習とか伝承とかは別にどうでもいいし、変えられないならそのままでいいと思う。滅ぼすよりも、そうやって狭い思考の檻の中で一生を過ごして外界から更に疎外されていけば時期に気づくだろうしね。」

「だが、それではあの少年との関係は埋まることは無いぞ?」

「確かにそうかもしれないけど、今の話は”お灸を据えた後”でいいわけよ」

「となると?」

「ユウヤには会いに行く。けど、その過程であの村のヤツらが邪魔するなら邪魔してきたヤツらを殺るだけ。」

「なるほど?我の問答無用で全てを滅ぼすという考えというよりは、こちらに向かってくる者のみを抹消するという考えか。」

「本当はこんな面倒くさいことしなくないんだけど、ユウヤに会う為にはそれしかないんでしょ?なら、そうする。」

「ナミハVS例の村 面白いものが見れるかもな」

「あんたは手伝わないのね」

「我が出たら全てを終わらせてしまうからな!」

「でも、戦意を失わせるには丁度いい存在だし来るだけ来てよ?」

「我を移動手段とかと勘違いしてるかお主?」

「こんな面倒事になったのはアンタのせいだし、これくらいは妥協してもらわないと。」

「随分言うようになったわ……」

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