テラーノベル
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夜の道路。
ヘッドライトが流れていく。
後方に黒い車影はもうない。
💙「……撒けた?」
🖤「たぶん」
ハンドルを握る手は、まだ強張っている。
💙「心臓止まるかと思った」
🖤「止まったら困る」
💙「誰のせいだよ」
🖤「俺」
💙「ふっ…w」
💙「……ありがと」
💙「守ってくれて」
🖤「まだ守りきれてない」
赤信号。
車が止まる。
街灯の光が横顔を照らす。
💙「さっきさ」
💙「“嫌いじゃない”って言ったよな」
🖤「言った」
💙「あれ、どういう意味」
🖤「そのままの意味」
💙「…逃げんなよ」
目黒が小さく笑う。
🖤「……最初は」
🖤「顔が似てたんだ…」
💙「誰に」
🖤「昔、失った人に」
💙「……」
胸がチクリとする。
💙「やっぱりそいつの代わりかよ」
🖤「最初は、そうだったかもしれない」
🖤「でも今は違う」
視線がぶつかる。
信号はまだ赤。
🖤「君は君だ」
🖤「強くて、うるさくて、すぐ怒る」
💙「ねぇ悪口?」
🖤「……だからこそ」
少し息を飲む。
🖤「目が離せない」
心臓が大きく鳴る。
💙「それ……」
🖤「こんな状況で言うの、最低だな」
💙「……」
🖤「ただ君を守りたいと思ってる」
🖤「償いとかじゃなく」
🖤「俺が、そうしたいから」
車内が静まり返る。
車はまだ、動かない。
距離が近い。
💙「目黒……」
視線が絡み合う。
どちらも逸らさない。
鼓動がうるさい。
渡辺はそっと目を閉じた────
ゆっくりと、目黒の顔が近づく。
呼吸が混ざる。
💙「……っ」
唇が、あと数センチ。
その瞬間——
後方からクラクション。
💙「……!」
我に返る。
いつの間にか信号は青に変わっていた。
後ろの車が苛立っている。
🖤「今はダメだな」
エンジンを踏む。
車が走り出す。
💙「なんだよ」
小さな声。
🖤「ちゃんと守りきってからな」
💙「……約束な」
🖤「約束」
ハンドルを握る手に、
そっと渡辺が触れる。
🖤「……おい、運転中」
💙「離したくない」
目黒が少し笑う。
夜の道路を、車は走り続ける。
俺たちの気持ちはもう、元には戻れなくなっていた。
——つづく。
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