TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

きみに映る私

一覧ページ

「きみに映る私」のメインビジュアル

きみに映る私

21 - 🫧第17章「泡の筆、言葉が届く日」〈挿し込み完全版〉

♥

33

2026年02月28日

シェアするシェアする
報告する

🫧第17章「泡の筆、言葉が届く日」〈挿し込み完全版〉

泡図書館の午後は、どこか呼吸をひそめていた。


書架のあいだを泡粒がゆっくり漂い、

頁の奥から、誰かの記憶の気配が微かに立ち上る。


律は静かに歩いていた。


指先が、泡の書架に触れそうで触れない。


何かを探しているようで、探す理由は自分でも知らなかった。


ただ、“自分の言葉ではない言葉”が、この空間に灯っている気がした。


📖挿し込み描写:律と泡日記の遭遇

彼の前に、一冊の泡日記がふと落ちる。

泡文字が淡く浮かび上がっているその頁には――

“伏し目がちの君を、私は忘れない”という文があった。

律はその文字に触れた。

それは彼の“感情”だった。

誰にも話さず、鍵盤の中にだけ封じてきたはずの――

レッスン室の傷。

言えなかった言葉。

泡になった悔しさ。


「……これは、僕のこと……?」


律の声は泡の粒と同じくらい小さく揺れた。


その日、彼は初めて知った。

誰が、自分の“言葉にならなかった感情”を見つけて、記録してくれていたことを。


📓泡日記・聖名の記録(律が読む頁)

誰にも言えなかったことが、確かに音になっていた。

その音は、感情を拒んでいたんじゃない。

守っていたんだと思う。

あなたの演奏が、わたしの記憶を泡にしてくれた。

だから、わたしは感謝を伝えたかった。


律はページを閉じられなかった。

自分の奥にある“言葉にならない想い”が、誰かの筆で泡になっていたこと。

それが、こんなにやさしく静かに記されていたことに、胸が少し苦しくなった。


📖泡の呼吸

その日、泡図書館の空気が少しだけ変わった。

誰にも知られずに漂っていた感情の泡が、

ついに誰かに届いた瞬間だった。


律はそっと頁を撫でる。


伏し目がちのまま、声にはしなかった。


でもその泡の筆に、彼の心は確かに触れていた。

この作品はいかがでしたか?

33

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚