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「宮様」
「宮様」
「宮様」
「宮様」
「宮様」
まるで軍隊の掛け声のように、「宮様」とその場に居る大半の生徒がコールを続けている。
それは異様な光景だった。
オレは異様な光景に呑まれそうになっていたが、
宮舘くんが身を呈して止めようとしてくれたんだ。
ビビってどうするオレ!
こんな事でおじけんじゃねぇー
「おいテメェらぁーっ」
思いっきりステージから、体育館に響く位に腹から叫んだ。
「気に食わないからって、こんなことするんじゃねえよ」
「お前らの『宮様』困らせてんじゃねえよーっ」
オレの目から涙が溢れて止まらない
格好悪いけど
「もうオレ……皆が反対するなら【姫】辞めてもいい、だってさ、好きで姫になった訳じゃねえーっ」
手の甲で拭っても拭っても涙が止まらなかった。
「佐久間…」
俺の真横に居る深澤先生は、急に低い体勢から立ち上がった。
「ふっか先輩…いや深澤先生!」
「もう大丈夫みたいだ(笑)」
「えっ?」
むせ返る程だった薔薇の匂いは、微かに感じる程になっていた。
ステージ上から薔薇とは違う香った花の匂いで、
中和されたのだろうか
まさか
これは佐久間が?
周りはざわついていたものの、佐久間に向けられていた罵倒、暴言、ヤジといった誹謗中傷は見事に収まっていた。
ステージ中央で泣き続ける佐久間に、その場の全員が一斉に目を向けて離せなかった。
それ程惹き付けられている。
🌹🌹🌹🌹🌹🌹
何なのよあの子…
怒りに任せて喧嘩でも売らせて、
この式典をめちゃくちゃにさせ、
退学に追い詰めるつもりだったのにー
ワタシの計画が水の泡となり唇を噛んだ。
しかも取って食われ全てが台無し、
何故あなたが悲劇のヒロインになってるのよ。
顔を上げ睨みつけた。
🌹🌹🌹🌹🌹🌹
小柄で、セミロングの黒い髪サイドには緑色のリボンが付いており、黒を基調とした制服姿、
ノーメイクであるが透き通るような白い肌、桜の花びらのように薄く色づいた唇、まつ毛長、大きな瞳
誰しもこの姿では、か弱き美少女だと思うだろう。
宮舘は手に力が抜け、ケースとピンバッジが手から滑り床へ落下した。
そこに近づいて来た生徒会長が拾った。
そのまま、まだ泣きじゃくる佐久間の方へ向かう
すると、薔薇とは違う花のような香りがした。
なんだかわからないがもっと嗅いでしまいたくなるいい香りが、もっと近くで……
(何考えてるんだ俺は)
正気を失いそうになった。
スタンドマイクを持ち「これにて式典を終了します。姫は変わらず佐久間です。会長の決定事項ですので、変えるつもりはありません」
そして式典は強制終了させた。
「やってくれたな…宮舘反吐が出る」
棒立ちとなった宮舘に、聞こえるよう捨て台詞を吐いた。
「佐久間誰に何を言われようともお前が姫だ。勝手に辞める事は許さない」
ドンッ
すると、俺を押して佐久間は走って逃げた。