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五木友人
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才川奏美
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「文化祭、体育祭、風紀、庶務、部活の6つから1つ。それと高1と高2は会計、書記、広報、からも1つ。どれやりたい?」
「広報」これは榎木園先輩。
「書記」これは田井中先輩。
「じゃぁ、会計」やはり高1というのは余り物をやるものなのである。
「じゃぁ、文化祭、体育祭、風紀、庶務、部活からどれがいい?水城からどうぞ」
この先輩は水城先輩にだけは優しい。
「じゃぁ部活。」
「俺は庶務」
ちなみに一番何が楽かというと、庶務である。部活は40近くある部活の部長たちの意見を取りまとめたりしなくてはいけないため結構だるい。
「田井中君先どうぞ‥‥」
「飛鳥が先どうぞ」
「じゃぁ、体育祭で。」
結構いいものを取られた。体育祭は結構早めにやるし、結構大変だが、1日で終わるという利点がある。そして、早い分2学期以降の仕事が減る。
「ユッキー恩に着ろよ。文化祭で。」
そう、生徒会で最も嫌がられる役職。それは、文化祭。
文化祭という華やかな場所でただただ、問題ごとがあれば即座に駆け付け、集計、見回り、放送‥‥などなど、数多く存在するが、体育祭と違い、文化祭は3日間。3日間ずっと走り回らなくてはいけないのだ。
「田井中先輩。ありがとうございます。ありがたく風紀に努めさせていただきます。」
「という事で、改めて、幸人君が生徒会のメンバーになりました。」
全員が拍手する中、この店のドアの辺りから人の気配がした。
「日向。別に中に入っていいよ。日向が生徒会に入らさせられるような流れじゃないから。」
そう、呼びかけると、ガラガラと、ドアを開けて日向が中に入ってきた。
「ふふっ。よかった。」
日向は微笑みながら中に入ってきた。
日向が席に座ると同時に店のおっちゃんがもう一つ水を持ってきた。
「ほら肉食え。肉。水城もダイエットばっかりしてると体に悪いぞ。」
網の上に敷いておいたままだった肉を水城や日向の皿の上に持った。そして風間先輩は水城先輩の体の事を心配しているようだった。
昔、田井中先輩が『付き合っちゃえよ。』といって、絞められてたな
「ユーヤは?」
「友人とカラオケに行ってるらしいです。」
そっからは他愛もない、ただただどうでもいいともいえるような話をした。
「そういえばさ、こないだ東京の方で廃工場の爆発あったじゃん。」
「あぁ、ありましたね」
全員が首肯する。
「あの事件か事故かわからないけど、防犯カメラの映像が存在していなんだよ。消されているらしいんだ。すげぇことじゃねぇか?」
なのである。まず、近年防犯カメラに ハッキングくらい簡単だ。と思っている人がいそうだが、これはとてもすごいことはAIが組み込まれており、ハッキングできる人間は世界に0人と言われるほどであるのに、それが消されている。というのがすごいのである。
「やばいですね。」
こういう時は馬鹿のふりをしておくのが得策の中の得策。
「話題になっているんだよ。たまたま近くにいたっていうタクシー運転手がとった動画が、消えているんだよ。写真フォルダから。」
たぶん僕らの組織の人がやっているのだろうが、すさまじいな。
「天才ハッカーですね。」
「そういえば、この前の福岡のテロの写真とかも全部消えてるらしいよ。だから、警察は同一犯じゃないか。って疑ってるらしいよ。」
水城先輩がそういった。
「そもそも、どうするつもりなんですかね?」
「それで警察側は『犯人を逮捕して、警察側に引き込みたい』って言っているんだよ。面白くない?犯罪者が警察側に引き込まれようとしているんだよ。」
「犯罪者が警察側に引き込まれるのはそれはそれでいやだけどね。」
そんな風に話をしていたら、時間はもう2時になっていた。
「じゃぁ、新入生歓迎会終了という事で。記念に一枚とっておこうぜ。」
パシャリと、全員で写真を撮った。
「それと、幸人。話したいことがある。日向君は先に帰っていてくれないか?あとできちんと送るから」
スマホをポケットにしまいながら、風間先輩がそういった。
「分かりました」
僕については、なんのことだかわからず少々首をかしげる。
店を出るとすぐそばに大きな車が、4台あった。僕らはそれぞれ車に乗り込んだ。
「幸人。まず、生徒会委入ってくれたことを感謝する。そして、何かあれば相談してくれ。絶対に手を貸す。もちろん、俺だけじゃない。生徒会全員が、だ。生徒会のグループメールにお前を入れておく。そして、このメールで何かあったら言ってくれて構わない。そして、このグループチャットは今年が終わってもずっと使うし、来年度は、来年度で作る。つまりは、一人でため込むなってこった。」
「ありがとうございます。風間先輩」
この人は、常日頃はふざけているが、意外にも情に厚い人なのだ。
「くぅー。こいつの今の言葉録音しときたかった。風間。先輩だって。小6の時はクソカザだったのから結構進化したなぁー」
「あぁ、ほしいならあげますよ。先輩に車に連れ込まれたときに襲われるかもって思って録音してましたから。」
「はい、校則違反で没収します。」
スッと。僕の手から録音機を取った。それから、何も話をせず、僕の家に着いた。
「じゃぁな。」
車の窓を全開にして手を振って彼の家の方に帰っていった。
「ただいま」
リビングに向かって呼びかけると、日向が中から出てきた。
「お帰り。どうだった?何か言われた?」
「何かあったら遠慮なく生徒会の人に頼ってくれだって。」
「あの人、意外にも情に厚い人だからね。」
優也はもう家に帰っていて、階段下の部屋で鍛錬をしているようだった。
自室に戻り、制服からラフな黒いティーシャツとクリ長ズボンを履き、階段下の部屋に入った。
「優也。お疲れ。」
トランプカードの入った箱と優也に向かって投げて渡す。
「そこは水くれよ」
僕の手中にあるミネラルウォーターを見て恨みがましげににらむ。
ミネラルウォーターの入ったペットボトルを投げて渡すと、すぐにゴクゴクと飲み始めた。
そして僕らはいつも通り、木刀片手に実戦練習をした。もちろんであるが、優也には負けた。しかし、カードでは勝った。10本勝負で、9対8。僅差ではあるが、僕の方が実力は上である。
ヴーヴーとスマホが震える。
『〈梟〉明日。3時に君の家にいるよ』
パッと目を通すと、すぐに消えた。これは、彼女なりの安全性を追求した結果である。
彼女は相変わらずの自己中心的すぎる。
そして次の日は6時間授業で、3時半に終わった。
そこから家に帰ると、僕の部屋に萩野さんがいた。
「君と〈百舌鳥〉の部屋をくまなく探したけど、エロ漫画とかは出てこないね。〈鳩〉と〈オウム〉と〈鶴〉の部屋からは出てきたけど。」
「‥‥アットホームな職場ですね」
今日だけで、2人からエロ漫画を持っていることを望まれるという事は嫌だな。
「それはいいとして、今回の任務はいつも以上に危険だから気を付けてね。」
いつものおちゃらけた感じから、一気に真面目な顔にかわってそういった。
「今回の任務に〈鴉〉や〈百舌鳥〉は連れて行くんですか?」
「連れて行かないよ。もうそろそろ出ようか。」
家の外に出て、萩野さんは灰色の車の運転席に乗り込んだ。
僕はいつも通り助手席に座る。この人はやけに後部座席に座るのを嫌う。海外のようにフレンドリーにしたいからという理由ではないだろう。
素早くエンジンをかけて、深くアクセルを踏んだ。住宅街に似つかわしくないような速度で走りだした。
「お前は、変異者を知っているか」
いきなり何の脈絡もなく萩野さんが言った。
「‥‥」
「‥‥いや、すまない。‥‥何でもない」
「知っていますよ。僕も〈百舌鳥〉もそうですからね。」
「‥‥やっぱりそうだったか」
萩野さんはボソリとつぶやいたが、僕はきちんとそれを聞き取った。
「なんでそう思ったんですか?」
「‥‥いずれ分かる」
「僕らの組織にも、僕と〈百舌鳥〉以外にもいますよね」という言葉を喉元で押さえつけて飲み込んだ。なぜそう思うかといえば、ハッキングをすることが一般人には不可能であるためである。
それから沈黙が僕らを襲った。でも、僕らはそれ以上何も言えなかった。どんなに沈黙で窒息死してしまいそうでも、どんなに聞きたいことがあっても、それは聞いてはいけないことであるから。これ以上踏み込んだらお互いに嫌な思いをしてしまうと、肌で感じ取っていたから。
それから車で15分ほど揺れて、目的地に着いた。その場所は大きな屋敷であった。そして萩野さんは、僕に羊羹の入った箱を渡して、『外で待っている』といって、屋敷の駐車場に止めた車の中で待っている。
屋敷の高い壁の知っていないと気付かないほど小さな傷に鍵を近づけると、壁が動き、階段になった。その階段を上り、塀の上まで行き、飛び降りた。僕はそこから一直線で柔道場に入った。
柔道場は結構古風で、ニスも塗らずにそのままの木を使用した床で、周りには松と桜と藤の盆栽が並べられていた。そして、そこの中から桜の盆栽を手に取り、一度おいて、下駄箱に戻り、棚板をの上から3段目左から2つ目のものを引っ張ると、下駄箱が一気にガタッと落ちてきて床と同じ高さになった。それに桜の盆栽をもって乗り込むと、下駄箱は更に下に落ちた。
「すげぇ」
思わず言葉が出てきてしまう。
それから、白い部屋で下駄箱はぴたりと止まったので、そこで降りると、即座に下駄箱は上がっていった。
桜の盆栽をその部屋の中心部分にある黒い部分に置くと、桜が一気に大きくなった。
そしてつぼみの状態だった桜が一気に開花して、散りはじめその桜が僕の体をふわりと包み込んだ。
次に視界が開けると、僕は丘の上にて、後ろには桜の木があった。そしてそこには、タイムスリップしたかと思うような風景がそこにはあった。
見たことは無いが、いわゆる江戸の街のようなつくりであった。田畑、山、川すべてがきらめいているような、そんな世界であった。今のようにすべてがデジタルになっているような世界ではなかった。
コメント
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うわ、めっちゃ自然に組織の話と生徒会の日常が混ざってて、ゾクゾクしながら読んだよ。最初の役割決めのくだり、文化祭が一番嫌われてるの分かるわ〜って思わず頷いた。でもそこから廃工場の爆発、防犯カメラの映像消失って、一気に世界観が広がって「おや?」ってなった。風間先輩の情の厚さと萩野さんの真剣な口調のギャップもいい。そして最後の桜の仕掛け…江戸の風景が広がるシーン、すごく美しい描写だった。変異者とか組織の話、まだまだ謎がいっぱいで続きが気になるよ!