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スマホの画面を見つめたまま、ため息をついた。
今日も亮平くんからのメッセージは『ごめん、撮影長引いちゃって』の一言だけ。
『お疲れさま。無理しないでね』
そう返信するしかなかった。
本当は、「会いたいよ」って言いたいのに。
でも、亮平くんの仕事が忙しいのはわかってる。だから、わがままなんて言えない。
付き合い始めた頃は、どんなに忙しくても時間を作ってくれた。
仕事終わりの遅い時間でも、短い時間でも、「顔が見たかったから」って会いに来てくれた。
亮平くんのその言葉が、どれだけ嬉しかったか。
でも、最近は——。
気づけば、最後に会ったのはいつだっただろう。カレンダーを遡ると、もう一ヶ月以上経っていた。
亮平くんが忙しいのは理解している。
でも、理解することと寂しさは別だった。
(いっそ、嫌いになれたらいいのに)
そんな風に思えたら、どれだけ楽なんだろう。
でも、そんなことできるはずがない。ただ、寂しいだけ。
部屋の隅に置かれたままの誕生日プレゼント。
亮平くんのために選んだものだったのに、渡す機会を逃したまま時が過ぎてしまった。
こんなことになるなら、もっと早く会いに行けばよかった。
テレビをつけると、ちょうど亮平くんが出演する番組が流れていた。
スタジオの明るい雰囲気の中で、変わらず優しい笑顔を浮かべていた。
その姿を見てしまうと、会えない寂しさよりも、彼を支えたいという気持ちが勝ってしまう。
(仕方ないよね)
自分にそう言い聞かせて、スマホの画面を閉じた。