テラーノベル
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放課後の校舎裏。
おらふくんは、昨日と同じ場所にしゃがみ込む。
足元の傷はだいぶ乾いてきたけど、まだじんわり痛む。
「……またいた」
声に振り返ると、やっぱりおんりー。
今日は、少しだけ近くに立っている。
距離は昨日より近い。でも、すぐには座らない。
おらふくんは、小さくうなずく。
「……うん」
おんりーは何も言わず、地面に目を落とした。
しばらく沈黙が続く。
突然、足音もなく、おんりーが横にしゃがんだ。
距離はほんの数十センチ。
でも、その距離が、おらふくんには妙に落ち着く。
「……痛くない?」
声は低く、優しく。
おらふくんは小さく肩をすくめるだけ。
答えなくても、ちゃんと見てくれていることが伝わる。
風が吹いて、木の葉が揺れる。
コンクリートの冷たさと、隣にいるおんりーの温かさが交差して、心が少し軽くなる。
「……名前、覚えてなくてもいいんだ」
おんりーがぽつりと言う。
「今ここにいることが大事だから」
おらふくんは、言葉に詰まる。
涙は出ない。
でも、胸の奥がじんわり温かい。
チャイムが鳴る。
おんりーは、少しだけ手を伸ばして、そっとおらふくんの肩に触れた。
そのまま、立ち上がって校舎へ戻るおんりーの足音が遠ざかる。
残されたおらふくんは、まだしゃがんだまま、ゆっくり息を吐く。
名前も知らない、過去も思い出せない。
それでも、確かに感じた。
――隣にいてくれるだけで、少しだけ強くなれる。
いつもより、楽になれたような感じがした。
いつもより、ずっと…
コメント
2件
このさくひんよんでるとね〜、 めちゃめちゃこころがかるくなる!(ん、?)