テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
優子が目覚めてから二日後、病室に刑事が二人、事情聴取に訪れた。
恐らく、警察が尽天堂大学病院の職員に、彼女が目覚めたら事情聴取をしたい、と伝えていたのだろう。
二人の刑事が、それぞれ警察手帳を優子に見せながら名乗った。
「あなたは……今年の五月に、刑期を終えて出所した、岡崎優子……さんですね?」
見た目、優子と同世代と思われる、一重瞼の眼光鋭い目つきの刑事が、彼女に確認をした。
「…………はい」
優子は、俯き加減で小さく答えた。
二人の刑事は、病室に来るまで、彼女の事を調べ上げてきたのだろう。
まさか、五月に出所した、と言われるとは思いもしなかった。
「体調は、いかがです?」
相棒と思われる、メガネを掛けた垂れ目の刑事が、優子の身体を気遣ってくれた。
「まだ若干……痛みがあります……」
「そうですか。ご無事で何よりです。では、さっそくですが、お話を聞かせてもらってもいいで──」
「あのっ……」
優子は、刑事の言葉を遮り、念のため拓人の安否を聞いてみようと思った。
「…………中崎……拓人さん……は……」
彼女が、二人の刑事に、それぞれ眼差しを向ける。
「中崎さんは、病院に搬送された時には死亡していました。死因は、サバイバルナイフで胸部を刺された事による出血性ショックで──」
刑事の言葉に、優子は耐えきれず、両手で耳を塞いで首を辿々しく横に振る。
死因まで聞いた彼女は、吐き気を催したが、口元に手を当てながら何とか堪えた。
「岡崎さん? 大丈夫ですか?」
大丈夫なわけがない。
すぐ隣で、手を繋ぎながら喋っていた男が、優子の目の前で刺され、突然、命を奪われてしまったのだから。
一瞬の事で、何が何だか分からなかったし、今もこの状況が信じられない。
彼女は、腰の鈍痛に耐えながら、気丈に振る舞う。
刑事の二人は、優子が落ち着くまで、無言で待っていてくれた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!