テラーノベル
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廊下を進む足音は、まるで自分の心臓の鼓動のようだった・・・
父の寝室のドアは半開きで、薄暗い光が漏れている、和樹の耳に、微かな囁き声が届いた、百合の声だ、柔らかく、どこか懇願するような響き
そして、隆二の低く抑えた声がそれに応える、和樹の血が逆流した瞬間、理性は吹き飛び、彼はドアを勢いよく開けた
「お前ら!何をやってるんだ!」
こんなことがあるのか・・・
和樹の目の前の光景は、自分の愛した婚約者が実の父親と寝ていた事実を受け入れたくないと叫んでした
そういうことだったのか・・・
部屋の中、隆二のベッドの上で百合が凍りついたように和樹を見た、全裸の彼女の髪は乱れ、シーツは腰から滑り落ちた、同じく全裸の隆二は上半身を起こし、驚愕の表情で息子を見つめた
一瞬の静寂が、まるで永遠のように感じられた
「和樹・・・」
百合が震える声で名を呼ぶが、和樹の目は彼女を通り越し、隆二に突き刺さる
「父さんっ!!百合に何してるんだ!」
和樹の声は怒りに震え、拳が握り潰されそうに硬くなる
「彼女は僕の婚約者だぞ!息子の女に手を出すなんて・・・!」
隆二は全裸のままゆっくりと立ち上がり、息子に対峙した。その目は和樹よりも怒りに血走っている、父も完全に酔っぱらっている
「お前が俺の女に手を出してるんだよ、百合は以前から俺の恋人だった」
父の声は低く、和樹にも負けず劣らず、抑えきれない感情が滲んでいた
「昔?何の事だ?何を言ってるんだ!」
隆二がトランクスを履きながら言う
「俺達はお前が連れて来た時の初対面じゃないんだよ、ずっと以前から知ってたんだ」
「なんだって?そうなのか?」
和樹と隆二が百合を睨んだ
「・・・お会いしたことがあるわ・・・」
百合はシーツで胸元をかくし、俯いた
コメント
1件
父親も百合も最低だな。