テラーノベル
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ふっと火の玉が消えた。
そしてがさっ、という足音がする。
僕は左足を軽く引く。
いつでもどっちにも動けるように。
「いや、悪かったですね。私ですよ」
その声で誰かすぐわかった。
未亜さんだ。
ただ、まだ力は抜けない。
「そんなに警戒しなくても大丈夫なのですよ。何かしようとは思っていないのです。昼に続く解説編その2でもしようかと出てきただけなのですよ。私は元々睡眠が短くてすむタイプなのでして」
そう言えば、昼間もそんな事を言っていたな。
そんな事を思い出す。
「取り敢えず、脅かしてしまったのは申し訳ないです。ちょっとばかり説明無しでやり過ぎたかなと反省しているです」
ん、そういう事は?
脅かした、と言ったのは足音の事だけじゃないだろう。
とすると、ひょっとして……
「あの火の玉は未亜さんですか」
「ええ、私の術なのですよ」
未亜さんは頷いた。
とすると、更にひょっとして……
「前にここでテントを張っていた時、出てきた火の玉も、もしかして」
「ええ。私なのです。美洋が外泊なんてしたので、念の為確認しに飛ばしてみたのですよ。あれを使えば、ある程度の情報が探れますので」
未亜さんはあっさりとそう認めた。
で、ちょっとだけ疑問。
「昼の話ですと、そういう面を見せるのはもっと先なのかと思えますけれど、どうして今それを話すんですか」
「ちょっとだけ、確認してみたくなったからなのです」
未亜さんはそう言って。
不意に目の前に、火の玉が2つ現れた。
その光で未亜さんの表情が見える。
細い笑っているように見える目が、ちょっと笑っていないように見えた。
何故かはわからないけれど。
「例えば私は火の玉、まあ狐火と言いますけれど、これを使って、かなり遠方の出来事を見たり聞いたり出来ます。こういう不可思議な術を使える私を、悠君は怖いと思いますか」
いつもと同じ口調に聞こえる。
でも僕は、どこか切実な、真剣な何かを感じた。
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