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牧原は、単身町の中を移動していた。
三体ぐらいなら、モンスターを上手く仕留められるようになったからだ。藤田からもらった剣と元バットの金棒は、攻撃力を飛躍的に高めてくれた。
もちろん、もっと多くのモンスターが現れる可能性はある。しかし、黒髪の魔法少女の状態で意識を集中するとかなり広い範囲のモンスタの存在を感知できることが分かった。元々目視できない範囲の車やモンスターが見えたりしたのだがら、今更不思議には思わない。それで、モンスターが大量に現れたら逃げ、逃げられないようなら近くの建物の中に入れば、やり過ごせる。そう考えて今は結構大胆に動く。そのおかげで、元人間のモンスターの死体を見つけることが出来た。
三時間ほど歩いて、家に帰ることにした。五、六体いるモンスターのクループが増えて来ていたからだ。それと、元魔法石の残骸を集めていたが、もうすでに何個集めたか忘れるほど集まっている。持ってきた袋いっぱいに集めていた。
モンスターたちに道を塞がれる前に家まで突っ切るか。
牧原は、全速力で走る。モンスター三体のグループと遭遇することは分かっているが、そのまま真っ直ぐ走る。やっぱり、十字路の右側から三体のモンスターが現れるのを確認すると、腰に差していた剣を抜く。そして、気付かれる前に剣で一撃を加える。一体のモンスターを倒した。
残りの二体のモンスターは、牧原に気付いたが、すぐには対応できず。
牧原は、動きを止めず、一撃を加えて二体目も倒す。もう一体が襲い掛かってきたところを返り討ちにして三体目も倒した。倒したモンスターを確認もせずにそのまま自宅の方へ向かって走る。
牧原は、自宅まで全力で走り切り、中へ入り、木戸を閉める。そこで、やっと安心し、乱れた息をなんとか整えると、大きく息を吐く。すると、いきなり疲れがドッと押し寄せる。意識を集中していてかなり広い範囲に居るモンスターの居場所をチェックしていたためだと気付く。
三百六十度、物が見え、危険そうな物は唐突に見えたりするから、見るのにそんな力を使っているという自覚がなかった。意識的に常時広い範囲を見続けるのは相当の負荷だったのだ。
「今後はこういう力の使い方は、注意しないといけないな」
藤田からもらった剣や金棒は、飛躍的に攻撃力が増した。しかし、自分自身が強くなったわけではない。この強い武器と黒髪の魔法少女の能力と相性が良く、相乗効果でモンスターを倒しやすくなっただけなのだ。
大分、疲労していたので居間に行き、エアコンのスイッチを入れる。暑いなぁと思いながら、横になるといつの間にか寝てしまっていた。
目が覚めると、晩御飯を食べる時間になっていた。
続きは明日にしよう。
牧原は溜息を吐いた。
八月の二週目火曜日の朝。
天気は曇りで日差しが弱くても、蒸し暑い朝だった。
牧原は、男の姿のままでリビングにやって来て、灯りとエアコンをつける。そのまま朝食の準備を始める。
食事を終えると、昨日と同様、職場のメンバーが参加しているSNSをスマホでみた。
昨日書きこまれた記事が目につく。昨日の休みは特別有給休暇扱いであり、通常の有給休暇の時と同じように給料がでるとのことだった。会社が通常通り営業できなかったのだからそうなるだろう。
しかし、その代わり、夏休みがその分短くなるとのことだった。
やってくれたなぁ……、でも、いつ働けるようになるんだろう。
上司へ電話して確認するとやっぱり今日も休暇取るように指示され、その分夏休みが短くなると言われた。有給休暇がいっぱい残っているので、普通の有給に変更できないか聞いたみると、確認してくれることになった。
本日も会社は休暇となった。とりあえず、昨日回収した魔法石の残骸を魔法石の欠片にして何個あるのか数えることにする。
昨日回収した魔法石の残骸を欠片に変える為、庭に居た。
藤田からもらった手斧のお陰で大分楽になったとは言え、欠片化するのはやっぱり大変だった。だが、全部で五十三個集められた。元から持っていた欠片と合わせて六十四個と二個分の大きさの破片二個集まったわけである。
「さて、どうするかな。モンスターの死体」
魔法石の欠片一つ作るのに、モンスターを一体処分しないといけないのだ。さすがに五十三体処分すると山盛りになった。一応、モンスターの死体を食べるモンスターを作って、食べさせている。しかし、モンスターが食べる量より、処分している量の方が多い。だからこんな結果になっている。
「とりあえず、腹も空いたし、昼ご飯にするか」
昼飯を食べ、再び庭に戻って来ると、モンスターの死体の山はかなり小さくなっていた。昼休憩にする前に、モンスターの死体を食べ、人を攻撃しないモンスターを大量に作っておいたからだ。最後に作ったモンスター三体は、まだ支配下にあるので呼ぶと、三体やって来る。残っている死体を食べるように命じると、少し食べたがすぐに止めてしまう。腹いっぱいなのだと判断する。
「仕方ない。新しく作るか」
また、球体に目と口だけのモンスター一体を作る。この時点では直径三十センチぐらいだ。モンスターの死体を食べ、人を攻撃しない特徴を付与すると、七センチぐらいに小さくなった。これに二つ分の破片を食べさせると元の三十センチほどの大きさに戻った。さらに通常の破片一つ食べさせるとさらに大きくなる。これを処分すると、中からは予想した通り、三個分を合わせた大きさの破片一つ出てきた。