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#スリースター
新月 つむり🐌
66
りんごあめ
りすぐみ
97
.
暖かくて
柔らかくて
軽く叩けば
空洞に ぽん、と音が響く。
そんな感覚が大好きだった。
骨と骨がぶつかる感覚
人体の不思議さを改めて知る機会
「 … 好きなの? 」
君のことか
この行為のことか
そんなこと聞く必要なんてない。
『 … ふふ 』
笑みのひとつだけで 伝わる。
君が好きだと。
君の構造が、大好きだと。
・・・
君の骨盤に触れる。
固くて ゴツゴツしていて
それに被さる皮膚は暖かくて。
「 … 好きねぇ、 」
君は 僕の頭を撫でる。
少しクセがあり ふわりと舞う髪は
君の手によって 押さえつけられる 。
『 あったかいから、さ 』
「 骨なのに ? 」
『 ね 』
好きだよ 、
何がなんて 、言わなくてもわかるよね ?
・・・
『 紆余曲折 だって 』
なにが、と
君は消え入りそうな声で問う。
俯いているせいか 、君の表情は見えない 。
口元だけが もご、と動く 。
『 君の生き様 』
「 … そっか 」
また
今度は 少しだけ口角が上がるのが見えた 。
白いコンクリートの床に
無機質な 漆喰塗りの壁に
冷たい アルミフレームの窓の外に
薬品の匂いが漂うナースステーションに 。
・・・
「 りんか 」
そう呼ぶ声が
蝉時雨に混じって 聞こえた気がした。
『 … ゆう 、? 』
そんな訳はないのに 。
腕の中で
シオンと勿忘草の花束が揺れた。
・・・
散水をして
五円玉と 砂糖菓子を添えて
あと
君の好きな たい焼きをひとつ。
『 … 早いね、夏は 』
君がいなくなってから 3回夏が来て
同じように
同じように
日常を繰り返した 。
少しずつ変わっていくのは
心の穴の大きさだけ。
徐々に狭くなりつつあるその中に
僕と君の 繋がりが欲しい 。
骨盤のように硬く
脊椎のように繊細な 、キズナが。
またくるね、と
炭酸水を ひとくち分君の墓に撒いた 。
君のいちばん嫌いな 、炭酸水を 。
【 君は嫌い。でも 君は好き 。 】
コメント
20件
あおいちゃん 落とそうチャレンジ中なので覗いても引かないでください。
・「ゆう」と『りんか』は恋人関係 ・でも、『りんか』は「ゆう」のことじゃなく 「ゆう」の骨盤がすき。(性癖的な) ・「ゆう」の骨盤のカタチがわかるのは病気だったから。→後死亡 ・忘れないで、と思う反面「ゆう」のことが嫌いだったことを知る。 (性癖だけが好きだったから ゆう自体は嫌い。だから返答が短い。) とかいう 謎設定 骨盤が性癖なのは わたし。骨が好き。
第2話、読ませていただきました。 「骨なのに?」「君だからあったかいんだよ」のやりとり、すごく好きです。骨格という硬くて冷たいイメージのものに、温もりを感じるっていう感覚が独特で、それでいてすごく優しい。そして「君のいちばん嫌いな、炭酸水」という終わり方——好きなものと嫌いなもの、どちらも大事に供えるその気持ちに、ぐっときました。夏の訪れと喪失感が、静かに、でも確かに響くお話ですね。