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北過去side①
大学生で初めて彼女が出来た。初めは普通だった。普通にデートをして、普通にスキンシップをして。
だがいつからか彼女が壊れ始めたのだ。他の人との連絡を過度に制限したり、大学では他の人と会話すらさせてくれない。しかも大学では俺が彼女を過度に束縛しているという噂まで流れ始めた。俺はされている側だと言うのに、。だから
別れたい
そう告げた。当然かなり揉めた。だが何とか納得してもらい別れることができた。しかしそれがいけなかったのかもしれない。大学の生徒全体の目が冷たく俺を睨みつけるようになったからだ。恐らく彼女を弄んで制限した挙句振った最低男という噂でも流れたのだろう。それもどうせ彼女が流したに違いない。優しかった仲間は離れていき、冷たい感情だけがそこに置いていかれた気分だった。怖くて夜も眠れない、食事も喉を通らない。
ちゃんと、ちゃんと出来ない、、。
今までちゃんと出来ていたことが崩れていった。
そんなことが続いたある日、ある男から声をかけられた。
男「ねぇ、君大丈夫?顔色悪いけど、。」
俺は目を見開いた。まだ俺に話しかけてくれて、 しかも心配までしてくれる人がいるとは思っていなかったからだ。
嬉しい。もっと、もっと心配して?
そう思ってハッとした。俺は今、なんとおぞましい事を考えていたのだろう。早くこの場から離れなければ。
北「大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。」
男「僕の家すぐそこだし休んで行きなよ!!」
北「いやでも、、」
男「ほらほらぁ。いこぉー!」
呆気にとられた。気づいたら男の家のリビングにいたから。なんて恐ろしい人だ、、。
男「お酒のもっか。日本酒いける?」
北「あ、はい。大丈夫です。」
お酒とは実に怖いもので気づいたら今まであったことを勝手に話していた。きっと誰かに相談したかったのかもしれない、辛かったのかもしれない、それでも言えずにいたのは否定されるのが怖かったからだろう。でもこの人はただうんうんと頷いて話を真剣に聞いてくれた。
男「そっか、、辛かったね。」
北「うん、。でも気持ち楽になったわ。ありがとう。」
男「無理して笑わなくて良いよ、、泣きなよ。」
あれ?おかしいな、目から水が落ちてくる。
あぁ、そうか。泣きたいほど辛かったのか。そこで俺は改めて自分の気持ちを理解できた。どれくらい泣いたかははっきり覚えていない。ただこの男の腕の中はとても暖かくて心地よかった。
男「眠れてないんでしょ?一緒に寝てみる?」
北「え、でも、、申し訳ないし」
男「俺も眠くなったからさ!寝よ?」
言われるままにベットに入りお互い向き合って横になる。なんだかこそばゆい気がした。やはりまだ自分の気持ちはよく分からない。ただそっとまぶたを閉じた。