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⛄ BL
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今日は何故だか、寝られない夜。
外は雨で、雨が地面を打つ音が家の中に響き渡っている。
その音の横で、安ら中な寝息が音を立てる。俺ではない、横の、こいつ。
普段はふざけて顔芸でも何でもするようなこいつは、寝ると無防備な顔になる。
綺麗で、可愛くて、かっこいい。
そんな顔に、思わずキスを落としてしまう。
「ん…」
起きるかなと一瞬焦ったが、こんな事で起きるような奴ではない。
今だってそう、この通り。寝返りを打ち、また安らかな寝息を立ち始めた。
俺は寝れそうにもないので、寝ている此奴を置いてリビングへと向かう。
雨で少し頭が痛いが、薬を飲めば少し楽になった。
さっき俺の横で安らかに寝ていたのは、俺の彼女である深澤辰哉。
長くの付き合いで、同じグループ。
最年長とリーダーの関係性もあり、話すことは多かった。
カメラの前ではふざけてて、なんでもするタイプなのに、裏では沢山努力してて。
グループ仕事ではMCという立場で、その為に台本を何度も何度も読み直したり、メンバーの為には自分はなんだってするという意思で仕事をしている。
もちろん無理している部分もあると思う。
でも、彼氏である俺にですらそれを言わない。
もっと頼って欲しいとも言えず、軽くサポートしているぐらい。
そんなこんなで、かなり夜は深くに。
俺だけかもしれないが、深夜になるとお腹が無性にすく。
軽くお腹を満たしたら寝れそうだし、夜食を作ろう。
チャーハンぐらいしか作れないが、夜食にはピッタリ。
「よしっ」
その一言を引き金に、俺は立ち上がる。
薬があまり効いていなくて、まだ少し頭が痛い。
それよりもお腹がすいているので我慢する。
…痛い。
「…照?」
卵をときながら頭が痛いと唸っていたら、さっき俺の横でスヤスヤと寝ていたはずのふっかが目を擦りながら俺の名を呟いた。
「あれ、起こしちゃった?」
卵を温めたフライパンに流し入れながら、そう尋ねる。
ふっかは喉が渇いて起きただけだから大丈夫と微笑んで言ってくれた。
こういう所、ほんと昔から変わらない。
「何作ってんの?めっちゃ美味そうな匂いする。」
「チャーハンだよ。ふっかも食べる?」
食べるーと、ルンルンしながらソファに座った。
少し気分が落ち着いたのか、力が抜けて欠伸をしている。
無防備さがまた可愛い。
「「いただきまーす」」
深夜に2人でチャーハンを食べる。
ありがたいことに仕事が忙しくなってからはすぐ寝ることがほとんどなので、こんなまったりとした時間は久しぶり。
いつぶりだろう…それすらも思い出せない。
そして、隣で美味しい美味しいと、寝起きにもかかわらず得意の早食いを見せつけている。
「はー、お腹いっぱい…」
「あの速度でも満腹感感じるんだね」
「まあ感じないかも。…って、さすがに感じるわ!」
しょうもないことで笑い合いながら、一緒に食器を片付ける。
最初こそ、洗い物はどっちがやるかで揉めたこともあった。
その揉め事すらも、愛である。
結局のところ2人でやることに落ち着いた。
「どうする?そのまま寝れそう?」
「いや、むりかも」
2人とも満腹感から寝られない。
深夜テンションというのも少し関係がありそう。
なので、夜だし雨だけど散歩に行くことに。
「うあー、あっちぃ」
最近はずっと暑い。
雨でも晴れでも曇りでも。
嫌になるけど、この季節は汗を流しやすいから好きだ。
「…ふっかはさ」
言いにくいけど、話さないと。
「ん?どしたの?」
名前を呼んだのと同時に、立ち止まった俺をふっかは首を傾げながら振り返る。
深夜の真っ暗な中、ふっかだけは輝いて見えた。
「無理してない?」
「え?無理?してないけど…何?急に」
嘘つけと言いたいのをぐっと我慢し、話し続ける。
「メンバーの為にメンバーの為にって……自分の為には無いの?」
俺がずっと疑問に思ってたこと、それをついに言い出せた。
ふっかは思っていたよりも冷静で、うーんと半笑いで考えている。
「まあ、無理してるのかもね。」
「え…」
「でも、俺が俺を出したい時、出すべきな時なんかは出すし、何より、俺はそれが好きだから。」
そんな感じと、言葉とは裏腹に呑気そうに歩き出した。
俺はふっかの背中を追いかけるしかできない。
何か声を掛けたいけど、喉の奥で言葉が詰まってなかなか言い出せずにいる。
「照っ」
俺が俯いてふっかを追いかけていると、急に名前を呼ばれた。
何?と返したら、手を取って顔をのぞき込まれる。
「…俺は照と居れない時しか無理はしない。」
「…ふっか」
「って、これ俺が言うとクサいヤツだな」
手をパッと離して、頭をポリポリと搔きはじめる。
クサいなんて思わないし、俺はもっと好きになったんだけどな。
「ねぇ、俺……今日はちょっと我慢できないかも」
「お、おい、今日はしねぇからな!」
END