テラーノベル
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次の日 純は、全部話した。
あのサイトのこと。
日付のこと。
1月25日という、避けられない文字のこと。
最初は、誰も信じなかった。
信じたくなかった。
光子郎は固まって、
権兵衛は笑って誤魔化そうとした。
でも――
説明できない事実が、もう多すぎた。
長い沈黙のあと、
光子郎が言った。
「……依頼は、止めよう」
それだけで、十分だった。
残りの日々は、
“いつも通り”ではなく、“ちゃんと残す”ための時間にする。
それがみんなの思いだった
―――
最初に行ったのは、遊園地。
昔、何気なく来た場所。
特別でもなかったはずなのに、今日は違った。
「こんなの、前も乗ったな」
権兵衛が言う。
「うん。あの時、権兵衛叫びすぎて――」
純が言いかけて、止まる。
権兵衛の目が純を見ていない
いつものだ
胸が、少しだけ痛んだ。
でも、
そのあとちゃんと会話を再開してくれた。
「……あぁ!そうだ、めちゃくちゃ恥ずかしかったやつ!」
純は
思い出してくれればそれでいい、と思った。
―――
水族館
光子郎の独壇場だった。
「あのクラゲは——」
「もういい、もういいってば〜…!」
「はぁ…今の3分の1くらいにまとめれないのか君は…」
純と権兵衛、二人で顔を見合わせてため息をつく。
「……聞いているのか?」
「聞いてる聞いてる(棒)」
もちろん嘘だった。
でも、その時間が楽しかった。
後で、
光子郎が同じ説明をもう一度した。
純たちが聞いていなかったのがバレてたらしい…
また、とてつもなく長いうんちくが始まる…
それでも、
純は笑った。
―――
美術館。
静かな空間。
誰も多くを話さない。
でも、
同じ絵を見て、同じ場所に立っている。
それだけで、十分だった。
―――
時間が経つにつれて、
忘れられる回数は増えていった。
名前を呼ばれないことも、
会話が一拍遅れることも、
視線がすり抜けることも。
それでも。
ちゃんと思い出してくれた。
思い出すまでの時間が、
少しずつ長くなるだけで。
「……あぁ、純か…」
その一言が、
何より嬉しかった。
―――
あっという間の、1日。
短くて、
でも、驚くほど濃い時間。
帰り道、純は一人で思った。
(楽しかった)
心の底から、そう思えた
(ほんとうに、幸せだった)
それでいい。
それだけで、いい。
純が消える時間が、
静かに近づいていた。
――――――――――
お楽しみに!!
コメント
13件
明日 最終回かぁ… でも師匠、ちゃんと 番外編が作ってくださいね!!?放棄したら許さない っすよ?(黙りなさい)めっちゃ楽しみにしてます!
最終回?!寂しい…
めっちゃ楽しみ