「平真さん、コクを助けてくれてほんとおぉぉぉにありがとうございましたぁ!」
王都のゾディアック……その外れにあるレンガで造られた3階建てのビル。2階へと繋がる階段の前、パンの美味しそうな香りが漂う1階で、無精髭を生やした男が泣きながら握手をしている。
その相手は、紺色のスーツに、ブラウンのインバネスコートとディアストーカーハットという装いの、誰が見ても探偵だと分かる格好をした男だった。
大柄なその男は、パーマのかかった黒髪を照れくさそうにかきながら、握手した手をブンブンと上下に動かす無精髭の男をにこやかに見ている。
「いや、探偵として当然の事をしただけですよ。それに、事件を解決に導いたのはセイですし」
「だとしても! あなたにも感謝を述べなれば俺の気持ちが収まらねぇ!」
更に握手してい*******
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