思いついたから書く
少年side
俺は帽子を深く被り、全身を服で隠して街を歩いていた。
お願いします…!ご容赦ください…!この子は…ポチは…!お母様からの唯一の形見なのです…!動どうか…どうか…!
そう言ってお婆さんは男達に跪く。
ポチという犬はお婆さんを守るように、低くうなりながら吠えている。
しかし、鉄の口枷をはめられるとなんの音も発せなくなり、バタバタと抵抗するがその抵抗も虚しく犬は黒く頑丈な車に連れていかれる。
あぁ…!ポチ…!
どうか…!ご容赦くださいませ…!
おばあさんは嘆いている。だが仕方ないことなのだ。あんなに堂々と散歩させていたらすぐに捕まってしまう。
あーあwお婆さんかわいそーw
ほんとにねw
あんなことになるって普通わかるだろw
どうせなら自分で通報すれば良かったのにねーw
20××年
地球上から人間以外の生き物が激減している時代。
生き物が激減すると同時に新種の生き物も発見されるようになった。
代表的な生き物が𓊆 人魚 𓊇だ。
そして、犬や猫、人魚などの、人外の生き物を保護しているのが【生物保護局】というもの達だ。
保護と言っても、先程のようにほとんど無理やりだ。
そして周りのものたちが言っていた【通報】。
それは、生物を見つけたら生物保護局に連絡すること。
生物のランクに応じて賞金が貰える。犬や猫などは低ランク、ワニなどは並、ライオンやトラなどは高ランク。人魚は特上ランクだ。
低ランクのものを通報すれば10万ほど貰える。
特上ランクは1億だ。
無駄話がすぎたな。
早く帰らなければ。
俺の帰りを待つあの子のもとへ。
⟬ただいま⟭
𓊆 おにいちゃん!おかえり! 𓊇
明るく出迎えてくれた少女は人ではない。
浴槽につかり、下半身が魚の少女。
この少女は特上ランクの生物𓊆 人魚 𓊇なのだ。
⟬俺がいない間、歌ってない?⟭
𓊆 うん!私ちゃんと約束守ったよ! 𓊇
⟬えらいな⟭
𓊆 えへへっ 𓊇
浴槽に水はほとんど入っていない。
寝袋いっぱいの水と、ペットボトル2杯分しか入っていないのだから。
この家だって、ついこの間見つけたばかりのボロ屋だ。
あのお婆さんのこともあったしここも移動しなければならないだろう。
俺は手垢まみれの地図にバツをつけ加える。
次に移動する場所を考えなくてはならない。
川や海には保護局のものがうようよいる。
やはりこの湖が良さそうだ。
⟬明日、この湖に移動するからな⟭
𓊆 おにいちゃんも泳げる? 𓊇
⟬あぁ、2人で泳げるぞ⟭
𓊆 嬉しいなぁ 𓊇
⟬だから、今日はもう寝ような⟭
𓊆 はぁーい 𓊇
𓊆 …ねぇおにいちゃん? 𓊇
⟬どうした?⟭
𓊆 ずっーと、一緒だよ 𓊇
⟬あぁ、約束だ⟭
𓊆 約束! 𓊇
俺たちは手で輪っかを作り、合わせる。そこにできる【∞】のマーク。
これは、俺たちの約束の証なのだ。
【ずっと一緒】という意味のマーク。…あの日誓ったのだ。
𓊆 おやすみおにいちゃん 𓊇
⟬おやすみ⟭
月明かりが当たりを照らす中俺は目を覚ました。
腹が減った。
隣を見ると眠っている少女がいる。
俺は少女に手を伸ばし しようとした。
しかし、
𓊆 ずっと…一緒… 𓊇
という少女の声にハッとする。
さっき、自分は、己の空腹のために何をしようとした。
一体何を…
そして、自分の腕を噛む。
血が滲んでも噛み続ける。
床に血が滴る。
自分の足首を、足首にある“鱗”を、少年は悲しそうに見つめた。
そして少年はまた眠りにつく。
𓊆 おにいちゃんっ!おはよ! 𓊇
少女の明るい声で目が覚める。
⟬おはよう⟭
𓊆 早く湖にいこう! 𓊇
⟬そうだね⟭
俺は寝袋の中に浴槽の水を入れていく。
浴槽の半分ほどの水を入れてしまうと少女を寝袋の中に入れさせた。
そしてまた水を入れる。
全て入れ終わり、少女に話しかけた。
⟬いいか?いつものようにゆっくり1から100まで数えるんだ。
数え終わったら中から1度たたけ。
俺が叩き返したら、もう一度1から100まで数えるんだ。⟭
𓊆 はーい! 𓊇
そして俺は寝袋をしめた。
俺は森の中を歩き続けた。
1度人に話しかけられたが、逃げ切った。
寝袋の中からトンッと音がする。
俺はトンッと叩き返し再び歩く。
そして、湖に着いた。
俺は少女を寝袋から出し湖に入れさせる。
𓊆 湖おっきぃねぇ!おにいちゃん! 𓊇
⟬そうだな⟭
𓊆 おにいちゃん早く泳ご! 𓊇
無邪気な少女を眺める少年は切ない目をしていた。
⟬いいか?何があっても戻ってきちゃダメだ。向こうの方に泳ぐんだ。ずっと向こうの方に。⟭
𓊆 おにいちゃんは…? 𓊇
⟬俺はいいんだ、早く行け⟭
𓊆 でも 𓊇
⟬ッ…!早く行けよ!⟭
𓊆 ッう…ポロポロ 𓊇
バシャッ
少女は、泣きながら泳いで行った。
数十分後、男達が近寄ってきた。
誰かと話している。
☾こちら創作部隊。寝袋を担いでいたと思われる少年を発見。寝袋は袋しか見当たらず中身は逃げたと思われます。指示を仰ぎます。☽
来た、ついに来た。
やはり、あの時に通報されたのだ。
1日前、ある男に話しかけられた。
俺から血が出ていたから手当をしようとしてくれたのだ。
しかし、俺は腕を見られてはならなかった。
見られたら、捕まるから。
この時捕まってはならなかったから。
全速力で逃げたのだ。
その時に足首が見えたのだろう。
俺の足首と腕には緑色の鱗が着いていた。
1人の男が俺を押さえつけた。
この少年も人間ではない。保護対象だ。
俺は口枷を嵌められそうになった。しかし、男の手が近づいてきた瞬間、俺は男の手に噛みつきそのまま手首までを噛みちぎった。
吹き出す鮮血。
上がる悲鳴。
男は蹲り叫び続ける。
男たちはたじろぐ。
そして一人の男が呟いた。
緑色の鱗、この行動…
この少年はワニとの混血だ!
ワニなら上に乗り口を抑えれば無力だ!
そう、これでいいのだ。
あの子が逃げる時間が稼げればいい。
ワニとの混血の少年を特上ランクと認定!ただちに保護せよ!
背中に何かを刺され意識がうっすらとしていく中、綺麗な歌声が聞こえた気がした。
??side
私は今、【特上展示室】というところに来ていた。
入口でパンフレットを取り、しばらく眺める。
一通り眺めたあと水がしみてしなしなになった地図にパンフレットをはさめた。
他の客が順路のとおりに進む中、一人それを無視して、地下へと下って行った。
地下3階、展示ケースは2つ
ひとつは空、ひとつには優しい表情の少年が入っていた。
鰐と人間の混血の少年
そこにはそう書いてあった。
𓊆 やっと、見つけたよ 𓊇
少女はそう呟くと非常ペルを押し、衣服を脱ぎ捨て、下半身に水をかけた。
そこに居たのは、美しい𓊆 人魚 𓊇だった。
警備のもの達が駆けつけてきた。
少女は話しかける。
𓊆 私は自分で自分を通報したのだけど、賞金は貰えるかしら? 𓊇
にこりと微笑む少女と対照的に警備のものたちの顔は強ばっていた。
何を望む。いくら欲しい。
警備のものは尋ねた。
𓊆 私が欲しいのはお金じゃないわ 𓊇
では何を望む。
𓊆 私とワニのおにいちゃんを 同じケースに入れて?𓊇
…分かりました。では、着いてきてください。
学生side
あっ!あったあった!
鰐と人間の混血の少年と人魚
そこにはそう書かれていた。
展示ケースの中には【∞】のマークを作った少年と少女。
知ってる?このケースの前で恋愛成就のお願い事をすると絶対成就するらしいよ!
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コメント
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ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙感動じゃねぇか!!!愛してるわよ!!((テンションやばい