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俺には凸もりという恋人がいた。俺は警官で凸さんは、、、死刑囚で。
俺が死刑執行のボタンを押して、、、
俺が、、、
これが凸さんを殺した、、、
あの肌に嫌になるほどまとわりつく湿気のある梅雨の時期。
あれから季節から人巡りして1年がたった。
今年は梅雨明けがはやく、もう夏真っ盛りのカラッとした夏が続いている。
俺は警官をやめた。
俺にはダメージが強すぎた。
殺した。
俺が殺した。
誰かに感情委託をしたいほど辛かった。苦しかった。
そしてもう1人の幼なじみであるうたいさんは、いつの日か3人で話したゲームの開発に成功していた俺は速攻手に取って遊んだ。
、、、
ダメだ、、、
プレイすればするほど苦しくなっていく。
幼いあの日々。
笑いあって秘密基地で、こんな展開がいいだ、こんなシステムにしたいだ。凸さんやうたいさんとただただ話していたゲーム。
夢は、、、
夢はここにあるのに。
苦しい。
やればやるほどずっと傍にいた凸さんが脳裏をよぎる。
人殺しなんて、、、
そこら辺に沢山いるじゃんか、、、
なんで、、、
なんで凸さんだけ、、、
集団殺害したから?
立て篭もったから?
なんで?
なんで凸さんだけ?
ピロン
スマホが鳴る。
うたいさんからだった。
数年ぶりの会話だった。
『明日会える?』
まさかのメッセージだった。
うたいさんとちゃんと話したい。
もしかしたら立ち直れた方法を聞けるかもだから。
会おう。
しっかり話そう。
今俺のすがれる場所はうたいさんだけだから。
『わかった。明日そっち行くね。』
『了解。引っ越したから住所送るね。』
ーーーーーーーーーーーーーー
「ふーん。それで明日うたいさんと話すんだ。」
夜。
ツーオペのリベンジするからと半ば強引に撮影するため俺はべるさんとサモランをし通話していた。
「うん」
「そっか。」
いつもより少し物悲しそうで、何か含みがあるような声だった。べるさんが普段そんな声はしない人なので、少し探りを入れてみる。
「ねぇ、、、べるさんはさ、」
「うん」
「あのこと、、、何か知ってるの?」
「あのことって?」
「凸さんの、、、事件のこと、、、」
「あ〜、、、あれね」
遅刻の言い訳をする時のように少し声のトーンが上がる。
何か。
何か隠してる。
「何か知ってるの?」
「まぁ、、、ね。けど、、、」
「けど?」
「きっと、、、うたいさんの口から聞いた方がいいと思う。」
「うたい、、、さん?」
「きっと私が言うのも野暮だしね〜!」
そう言いながら知らない間にしれっとツーオペをクリアしていた。
「っと、、、やっぱリベンジ企画だし、終わるの早かったね〜!」
「ほぼ俺のキャリーだったけど?」
「ごめんごめん。エペのやりすぎ出ちゃったかも。」
「たまには編集もね」
「うん。明日うたいさんと会うんでしょ?さもさんは早く寝な〜」
「おやすみ」
「おやすみ〜」
うたいさんは面会に来た時泣き腫らした目をしていた。そして何より俺と対面した時顔が強ばっていた。なんでかは分からない。
そしてべるさんの知っている真相。教えてはくれなかった。けどうたいさんはそれを知っているらしい、、、
どういうことなんだろう、、、
俺には分からない。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここか、、、
何とか道に迷わないでこれた、、、
ロック付きのタワマン、、、
あんまりうたいさんからは想像ができない。
どっちかというとタワマンとかは犬猿してるイメージ、、、
まぁいいや行こう。
チャイムを改めて鳴らす。
「うたいさん」
「、、、!さもさん!開けるから待ってて!」
久しぶりに聞いたその声は変わらなかった。ただ、、、ここには凸さんはいない。
「わざわざ来てくれてありがとう。部屋は綺麗だし上がって上がって」
相も変わらず家綺麗だなと思いながら、リビングに案内される。
そういえば、、、ガサツな凸さんに対して綺麗好きなうたいさんがよく注意してたっけ。ちゃんと整理しろって。懐かしいな。
何となく気まずい空気を逃れるためにゲームの話題をだす。
「ゲーム、、、ようやく出せたんだね。」
「うん。それが、、、約束であって僕の夢だったから。」
約束、、、?なんの?
「それでね、僕さもさんに話さないと行けないことがあるの。」
いつものほんわかとした雰囲気とは違い真剣な雰囲気だった。思わず息を飲む。
「僕が、、、」
「僕があの日、、、」
「1年前、、、」
「僕が凸さんを、、、」
「凸さんを殺し、、、たんです、、、」
思考がシャットアウトする。
どういう、、、こと、、、?
そうだそもそもなんでうたいさんはこんな警備が頑丈なところにいる?何か、、、何か理由があるはず。
「どういう、、、こと、、、?」
「、、、順を追って話すね」
そう言って彼は話し始めた。
「本当はあの事件の犯人は僕だった。あの時僕はようやくこの前出すことの出来たゲームに取り掛かれるそんな状態だった。でも、、、その矢先に前の家でノートの強奪にあってその時に、、、反射的に殺しちゃって、、、それで自分自身でもその後どうしていいのかわかんなくなっちゃって、、、」
俺に、、、連絡してくれれば、、、
どうにでも、、、できたのに、、、
けど、、、それをうたいさんには言えない。
彼は必死に話そうとしてるから。
「もちろんあの時本当は、、、さもさんに連絡しようと思った、、、けど、、、せっかく警官になったさもさんの経歴を汚したくなくて、、、」
まさか、、、
けど言われなくてもわかる。
「でも、、、誰かに吐露したくて電話だったら大丈夫だって思って、、、凸さんに、、、電話を、、、したの、、、そしたら僕が上手く話せなくって。凸さんお人好しだから、心配して僕の家来ちゃって。そしたら全容聞いて、そのゲームを作れるのはお前だけだから、逃げろって、、、俺が肩代わりするから、、、って、、、言って、、、」
うたいさんが涙を零し始める。
「そしたら、、、どんどん話が進んでいって、気がついたら、最高裁で裁判が行われてて、、、死刑判決で、、、僕は、、、僕は僕は、、、何も悪くない凸さんに罪を肩代わりさせて逃げて逃げて逃げて、、、僕だけ生きちゃって、、、」
気がつけば暑い夏なのに彼は震えていた。
「うたいさんは、、、悪くないよ」
全部うたいさんから強奪した奴らが悪い。
「さもさん、、、!でも僕は、、、僕は!凸さんを死刑に追いやった張本人で事件の真犯人なんだよ、、、!それなのに、、、!さもさんの恋人である凸さんを殺したのは、、、!」
「それを言ったら凸さんに手を下したのは俺だ、、、」
「えっ、、、」
「死刑執行の、、、ボタンを、、、押したのは、、、俺、、、だから、、、」
「けど僕があの日凸さんに話をしなかったら、、、」
「うたいさんは何も悪くない。凸さんも何も悪くない。凸さんは、、、きっとうたいさんに俺らの夢、、、託したかったんだろうね。」
「それで、、、話を戻すね。あの後凸さんが死んでから僕は軽く精神病患っちゃって今は落ち着いてるんだけど、、、元々ニグさんの家に居候してたんだけど、迷惑かける訳にも行かないし、もうこんなことしたくないって思って今わざわざオートロックのタワマンに住んでる、、、半年ぐらい前かな、、、?大分落ち着いてきてそれでようやくゲーム作れる段階になって。約束果たすためにも無我夢中で作ってそれでようやくできたの。」
「頑張ったね。」
「うん。けど、、、そうじゃないと凸さんに笑われちゃうから。最期の面会の時凸さんが託したぞって真剣な目してたの。だからきっと今喜んでるかな。凸さん。」
「うん、、、!きっと喜んでる」
「恋人だったさもさんが言うなら大丈夫か。」
ちょっとだけ晴れ晴れとした顔になる
「それでね。僕。」
「死のうと思うんだ。」
えっ______
世界が壊れそうな音がした。
「だからさ。死ぬ前にさもさんに伝えなきゃなって」
「僕ねどっか遠いところで死んでこようと思うよ。」
「待って、、、!」
何とか声を絞り出す
「俺も、、、一緒に行く。」
ーーーーーーーーーーーー
行くのは1週間後。
どこか宛もなくただ遠い所に行く。
果てしない旅のようで期限付きの旅だった。
「俺次のべるさんとの同時投稿で最後ににしようと思ってさ」
「ふぇ!?」
空気が凍る。
「い、一緒に行くの??」
この子は一体どこまでを知っているんだろう。
「うん。」
「だ、ダメだよ!」
「ごめん、、、でも、、、正直現世と向き合えない、、、」
「さも、、、くん、、、」
「ごめんね。」
謝ることしかできなかった。
ーーーーーーーーーーーーー
財布を持ってスマホを持って
ただあてのない旅へ行く。
「さもさん!準備できた?」
「うん!」
「行こっ!!」
幼きあの日のようにルンルンで遊びへ行く。
ただ違うのは片道切符なだけ。
「僕色々あって外全然でてなかったんだよね〜海行こ海」
「いいね〜俺も行けてなかったし」
きっと凸さんがいたら、「え〜海なんてめんどくさいから川でいいじゃん!」とか言ってたんだろうな、、、
ただ、、、
もう少しで、、、
もう少しで会えるんだ。
楽しんでいこう。
電車を乗り継いで乗り継いで道中は他愛のない話をしたり、お菓子を買ったり長年できていなかったことをした。
真っ暗な中着いたのは無人駅。
人のひの字もないようなそんな場所。
「ってもう夜じゃん!」
「ね〜」
「めんどくさいし適当に駅の一角で寝ちゃう?」
「あり〜」
適当なベンチに腰をかけてお互いに体重を掛け合う。
うたいさん軽すぎ、、、
相当、、、無理してたんだろうな、、、あの時頼ってくれれば、、、
なぁーんてそんなこと言ったって無駄か。
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次の日
ん。朝か、、、
「ねぇさもさん!さもさん!こっから海近いらしいよ!!歩いてこ!!!」
「いいね〜」
体力持つかなぁ。
最初は意気揚々と歩いていた。
まぁそんな都合のいい話はなかなか上手く続かない。
「さもさんごめん僕限界」
まぁ普段から動いてないならそりゃそうか。
とりあえず軽かったなぁと思ったので、おんぶして近くの駅まで向かうのだった。にしてもあんまり抱えてる感がない。凸さんにおんぶをした時は割と重かったな、、、
凸さんが重かったのかうたいさんが軽すぎるのか今となってはわかんないか、、、
とりあえず近くの無人駅のベンチに寝かせる。
元から細かった体がさらに細くなっているのだから、ほんとにうたいさんも追い詰められていたのだろう。
俺的には頼って欲しかった。
意地でもあの状況を正当防衛として幸せな未来へとしたかった。また3人で笑い合いたい。
潮風が聞こえる。
海は近いのかな。
凸さんは今どんな思いで俺達のこと見てるのかな。こんなうたいさんと2人でいて浮気者め!とか思ってるのかな。それとも仲良いねって思ってくれてるのかな。
もうわかんないよ、、、
「ん、、、あれ?ここどこ?」
「あっうたいさんおはよ」
「あれ、、?無人駅?あっ僕ダウンしてたのか、、、ありがと」
「今日はもう夕方だしこのままここで休んじゃおっか」
「うん」
「ねぇうたいさん」
「、、、ん?」
「誰にも好かれる主人公なら汚くなった俺達でも見捨てずに救ってくれるのかな」
「さぁ、、、きっと救ってくれはしないんだろうね。いつも、、、そうだから」
やっぱりヒーローは正義のために身近な人を犠牲にし、ヴィランは1人のために世界を犠牲にするというのが定義なのだろうか。
この世は理不尽だ。
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「さもさんさもさん!!起きて!行こっ!」
起きたのは7時ぐらいだった
とてもはしゃいでいるうたいさんを見たのは久しぶりだった。
それにつられて自然に体を起こす。
思ったより早く海に着いた。
あまり歩いている気が気なかった
それぐらいふわふわしてる感覚である。
「さもさんっ!えいっ!」
バシャと水をかけられる
水が太陽と反射して直視ができないぐらい輝いている。
こんなに輝かしい世界を見るのはいつぶりだろうか。
スプラの水鉄砲持ってくれば良かったかなぁ。
「反撃っ!」
「あははっこんなことするのも久しぶりだよね」
「ね!」
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どれだけふざけあっていたのだろうか。
さすがに疲れきっていた。
ただ歩く気力もない。
2人で近くにあった流木に腰掛ける。
目を背けたくなるぐらい、赤々とした夕日だった。
正直割と手ぶらめで来てるので資源もそこをつき始めている。
いつまで続くのだろうか。
ふとうたいさんが立ち上がる。
片手にナイフを持って。
「死ぬのは、、、僕一人でいいから。」
状況が追いつかない。
そうして彼はナイフで自分の首をきった。
俺が待ってといい切る前に。
目の前で流れ出てくる血は、真っ赤な夕日と溶け合い、青い海と溶け合った。
白昼夢を見ているようだった。
そのシーンだけ切り抜けば、映画のワンシーンのようだった。
頭が真っ白になる。
うたい、、、さん、、、?
うたい、、、さん、、、?
俺、、、は、、、?
いつものように「なんでや!」とも叫ぶこともできない。
本当にショックだった。
なんで、、、?
なんで俺だけ残ってるの、、、?
意識がシャットアウトするのだった。
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