俺は「フォーク」側 の人間だ。
分からない人のためにその俺が言っている
「フォーク」とは何か簡単に説明すると、
この世界には「フォーク」「ケーキ」「その他(特
になんの変わりもない一般人)」と3種類の人間
がいる
その中でも「その他」の数は圧倒的で「フォー
ク」や「ケーキ」はごく稀に存在する
「ケーキ」なんか「フォーク」よりも希少で地域
に1人いるかいないかの数だ
しかもその「ケーキ」の人間は自分がケーキだ
と気づかずに生活しているケースが多い
その中で俺は「フォーク」側の人間だ
食べ物に味を感じないし苦い、甘い、辛い、な
んざ味わったことなんか1度もない
毎日味のしない物を食べていて最初は気が狂い
そうだった
一度は味を感じてみたい、
なんて言うのは強欲なんだろうか
俺たちが味を感じるには「ケーキ」がいないと
成立しない事だ
俺たち「フォーク」は「ケーキ」の人間の
皮膚、唾液、体液、涙
などによって甘い味を感じられる、らしい
甘いって言うのがどんな味なのかわかんないか
ら正直あんまピンと来てない
同じ「フォーク」側の人間の友達が言っていた
「フォーク」が「ケーキ」の事を殺してしまう
ケースがあるって
「ケーキ」の甘い匂いに「フォーク」が食べたい
という事で頭がいっぱいになってしまい
「フォーク」が「ケーキ」を捕食するという
なんともグロテスクな事件が過去に1、2度
あったらしい
でもそんなケースもごく稀で
大体の「フォーク」の人間は「ケーキ」側の人間
に会わずに死ぬことが多い
俺もそうなのかな
味を感じられずに死ぬのは嫌だな
なんて思いながら今日から活動するM!LKの
メンバーと対面する日だ
そう、俺は味を感じられずに死ぬのが嫌で
芸能界に飛び込んだ
芸能界なら色んな人と接点が増えるし
ケーキ側の人間が1人ぐらいいるだろうと思い
M!LKのオーディションを受けた
正直アイドルに入るのはなぁ、
と思ったが
昔から母に「勇斗は顔がいいんだからアイドル
でもやりな!」
と言われたことがあり
俺って顔いいんだ
とか惚気けたことを思い出してアイドルのオー
ディションに参加した
正直俺は勉強もできる方だし運動神経も良かっ
たから結構簡単に受かったと思う
なんて自惚れたことを考えていると曲がり角で
誰かにぶつかってしまった
『あ、すみませ、、、』
強烈に甘い香りがする
甘いって匂いを知らなくてもわかる
どこからだ?!
とぶつかった人の事なんてとっくに忘れて
周りを見渡していると
「こっちこそすみません。」
と小さくちょっと高い声でハッと我に返る
ぶつかった人の事を思い出しすぐさまそっちに
意識を戻す
意識を戻した瞬間わかった
このぶつかった人から甘い匂いがするのだと
すぐにでも「食べてみたい」
という気持ちでいっぱいになった
、が流石に初日一発目にやらかすわけにはいか
んのでここは我慢我慢と自分に言い聞かせた
「あのぉ」
と、また甲高い声が耳に入ってきてまた我に返
る
「僕急いでるんでそろそろ、、」
『あ、はい!ぶつかってほんとすみませんね』
「いえ、」
俺よりも年下だろうな
純粋無垢なその目が物語っていた
というか、、可愛かったな
目はきゅるきゅるしてて透明感半端なかったし
肌は日光今まで浴びたことないの?ってぐらい
白くて生クリームみたいだったし
ほんとにケーキみたいだった
『あっ!』
と1人で声を出すと周りがびくっとしてコソコ
ソ言われていたが
そんな事俺が気にするはずもなく
連絡先を聞くのを忘れてしまっていて「しくっ
たな、、」
とまたぶつくさ独り言を言いながら目的地に向
かった
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!