テラーノベル
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信愛、銚子、龍河が狗頸拘置所で汀ひなたとの面会を行っている頃。
白縫家では、怪異探求倶楽部のメンバーたちが落ち着かない様子でリビングに集まっていた。
時計の針が進む音だけがやけに大きく聞こえる。
焔垂は皆の顔を見回し不安そうに口を開いた。
「大丈夫かな?みんな・・・」
茜はソファにもたれながら、小さく微笑む。
「心配だけど信じて待つしかないよ」
しかし、その言葉とは裏腹に、朝陽は膝の上で指を握り締めていた。
「なんか僕までドキドキしてきちゃいましたよ」
その様子を見た茜は思わず吹き出す。
「もう朝陽くんがソワソワしてるから
私までドキドキしてきたじゃん」
朝陽は照れくさそうに頭を下げた。
「あ、ごめんなさい」
さくらは静かに腕を組み、窓の外へ視線を向ける。
「重要な話聞ければいいけどね・・・」
焔垂も神妙な面持ちで頷いた。
「そうだな・・・」
部屋には再び静寂が訪れる。
誰もが同じ思いだった。
信愛たちは無事に戻って来られるのだろうか。
そして、汀ひなたの口から、本当に知りたかった真実を聞き出せるのだろうか。
そんな重苦しい空気の中、多摩雄は誰にも聞こえないよう、小さく胸の内で呟いた。
(銚子・・・信愛・・・)
◇ ◇ ◇
皆が白縫家で不安に胸を締め付けられている頃。
狗頸拘置所の面会室では、汀ひなたとの面会が静かに始まっていた。
仮説面会室の椅子に座るひなたは、退屈そうに頬杖をつきながら三人を見渡す。
「さぁ、さっさと始めてましょうよ
私に何が聞きたいの?」
龍河は壁の時計へ一瞬だけ視線を向ける。
面会時間は30分。無駄話をしている余裕はない。
「30分の時間制限があるんで
単刀直入に聞きますが」
龍河はまっすぐひなたを見据えた。
「アンタは天縁教団の現役幹部なんですよね?」
ひなたの口元がわずかに緩む。
「へぇ〜・・そこまで調べてんだ」
そしてあっさりと頷いた。
「その通りよ」
龍河は続ける。
「しかも単身渡米して、精神分析で
博士号まで取得しているはずです」
ひなたは少し目を細め、感心したように笑う。
「そこまで知ってんだ」
しかし龍河の表情は変わらない。
「そんな人間が何故詐欺をやってたんですか?」
その問いに、ひなたは逆に問い返した。
「というかあんたら
天縁教を調べてんの?なんでまた?」
その時、信愛が静かに口を開いた。
「私がつい一週間前に
教団の人間に誘拐されたんです・・・」
その一言に、ひなたの表情が一変した。
「はぁ!? 誘拐!?アンタが!?」
驚きのあまり身を乗り出す。
その反応は演技には見えなかった。
目を大きく見開き、心の底から驚いているようだった。
龍河はその様子を冷静に観察しながら言う。
「その様子だと、誘拐の事実は
知らなかったみたいですね?」
ひなたは首を横に振る。
「ええ、初耳よ・・・」
少し考え込むように視線を落としたあと、困惑した表情で呟く。
「でも天縁教団なんて、今は解体寸前の状態よ?
そんな団体が何でいち女子高生を誘拐する訳?」
龍河は静かに頷いた。
「その真相を探る為に
アンタへの面会を打診してたんです」
そして続ける。
「この子の誘拐の件はアンタから
聞いて今初めて知ったのよ?」
ひなたは苦笑しながら肩をすくめる。
「私から知り得る真相なんて
無いに等しいと思うわよ?」
それでも龍河は引かなかった。
「アンタは俺たちの質問に
答えてくれさえすれば問題ありません
後はアンタから聞き出した
情報を元に俺たちが独自に調べます
だから調べる為の資料を貰いに来た
この面会にはそういう意味合いがあります」
ひなたはしばらく黙って龍河を見つめていたが、やがて静かに頷く。
「なるほどね・・・」
そして小さく息を吐いた。
「わかったわ・・・」
覚悟を決めたように背筋を伸ばし、三人を見渡す。
「私が知ってる範囲だけには
なるけど、話してあげるわ」
龍河は深く頭を下げた。
「助かります」
#普通
野々さくら
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ありあ
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コメント
1件
×××さん、第267話読みました!いよいよ汀ひなたとの面会が始まりましたね。白縫家で待つメンバーたちの不安げな空気感が伝わってきて、こちらまで緊張しました。ひなたが「天縁教団は解体寸前」と言ったあの驚き、演技じゃなさそうで…むしろ彼女自身も何か知らされていないことがあるのかなと気になります。龍河の「資料を貰いに来た」という冷徹な割り切り、彼女らしくて好きです。次が楽しみです!