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🌙リルの入院
エシアがリルと出会ってから2週間が経ったある日、エシアは両親と夕食を一緒に食べていた。
「エシア、リルちゃんが入院してしまったんだよ」
アトレが言った。
「そうなの?会った時も心が辛そうだったから、疲れちゃったの?」
エシアは心配して聞いた。
「うん、リルちゃんは身体の緊張や不安、恐怖が強くてうまく行動できないんだ、それが辛くて、家ではベッドで寝てばかりいるようになったんだって、リルちゃんのお母さんから聞いてね、しばらく入院することになった」
アトレの話によるとそういうことらしい。
「そうなんだ……きっと疲れちゃったんだね」
「リルちゃんは症状が症状だけに、友達も作れなかった、エシア、リルちゃんのお見舞いに行ってあげてくれないか?」
アトレにエシアはそう言われた。
「いいよ、わたしのぬいぐるみ達も連れて行っていい?」
エシアはリルの心の慰めになるかもと思って言った。
「もちろんだよ」
こうしてエシアは、リルのお見舞いに行くことが決まった。
日曜日、児童精神科へエシアはリルのお見舞いに行った。
リルの病室
「リルちゃん、身体の反応が辛いのはわかるけど、動く練習をしないともっと動けなくなるんだよ、寝てばかりいたらダメなんだ、ぼくと一緒にお絵描きでもしようか?何かやらないとね」
アトレの言葉にリルは泣き叫んだ。
「いやあああー、何をやってもうまくできない、もう動きたくない、頑張りたくないの、うわあああーん」
リルは枕に顔をうずめて泣いた。
「リルちゃん泣かないで、ピンクのうさぎのぬいぐるみ貸してあげるから」
エシアは児童精神科に通院しなければならない子供達を、心配している。
普通にやっていけないことに児童精神科の子供達はみんな苦しんでいる。
リルは、エシアからぬいぐるみを渡され、ピンクのうさぎをぎゅっと抱きしめた。
「リルちゃんが起き上がった?」
アトレは驚いた。
「リルちゃんピンクのうさぎさん、気に入った?」
エシアはリルに聞いた。
リルはうなずいた。
「ピンクのうさぎさん、あげるね、黒猫さんはわたしの一番のお気に入りだからあげられないけど」
エシアはピンクのうさぎをリルにあげることにした。
「いいの?ありがとう」
「みんなの物語もあるのよ、聞きたい?」
エシアはぬいぐるみ達の物語を誰かに聞いてもらうのが好きなので、リルに期待した。
「うん……」
リルがそう言ったので、エシアはぬいぐるみ達の物語を話した。
リルはその物語を聞いたあと、ピンクのうさぎを抱いて眠った。
リルの病室の外へ出たアトレとエシア。
「お父さん、リルちゃんあんなに嫌がっていたのに無理にやらせるのが本当にいいの?かわいそう……」
エシアは思ったのだった。
緊張や不安、恐怖でうまく行動できないリルに。
「リルちゃんのそういう反応は身体に感情がなじまないからなんだ、行動させることで、そういう感情を軽くしていくしかないんだよ」
アトレは気持ちの優しいエシアにとって、リルへの治療は荒療治に見えていると知って複雑な心境だった。
児童精神科医は、冷静でなければならない。
治療の一環であるリトミックの時もリルに靴下を脱ぐように指示したのにリルは嫌がり、無理に脱がしたら泣いてしまった。
「エシア、これからもリルちゃんのお見舞いに来てあげてくれるかい?リルちゃんはエシアのぬいぐるみ達の物語が気に入ったみたいだね」
アトレは、リルが興味を示したことに驚いていた。
「はい、お父さん」
エシアはリルと本当の友達になれるだろうかと思うのだった。
リルはピンクのうさぎと月に行く夢を見ながら眠っていた。
ムメイ
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谷崎爽奈
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コメント
3件
うわあ……リルちゃんの「動きたくない、頑張りたくない」って叫び、すごく胸に来ました。ああいう「身体に感情がなじまない」状態って、周りからは単なるわがままに見えがちだけど、本人にとっては本当に動けないんですよね。そんな中でエシアがぬいぐるみの物語を語って、リルちゃんがピンクのうさぎを抱いて眠りにつく——あの静かな救いがとても美しかった。アトレ先生の「行動させることで感情を軽くする」という治療スタンスも、医学的には正しいんだろうけど、エシアが「可哀想」って感じる気持ちもよくわかって、この父子の価値観の違いが今後の伏線になりそうで気になります。