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学年一の優等生様には
才能がないらしい。
# prsk夢小説注意
# 魔法学園パロ
2024-09-10
________
「へぇ、夜さんって瑞希と
知り合いだったんだ。」
放課後。僕と絵名さんが、
空き教室で、話していた時のこと。
「うん。中等部からの腐れ縁って感じ。」
絵名さんと共通の友人が
いることに気づいた。
「…てことは、もう6年か。
そこまで長く居れるものなんだ。」
「うーん、どうだろ。
付き合いが長いのは本当だけど、
一緒にいた時間が長いかって
聞かれるとそんなにだし…」
さらに言うと中等部って言っても
1年の秋頃だし。まだ小等部気分の時
だったから、ちゃんとした中等部って
言われたら少し語弊がある。
「ふーん?やっぱり瑞希って
そんな感じなんだ」
手に握られているパレットには
緑と黄色の絵の具が出ており、
筆の先には黄多めの緑の
絵の具が着いていた。
今日も絵名さんは課題の絵を描いていて、
その絵は引き込まれそうな程、
綺麗な絵だった。
簡単に文章でまとめると、1行に
まとまってしまうけど、
細かく言えば好きなところはかなりある。
「うん。たまに屋上で会うけど、
その頻度もまちまちって感じ。」
「屋上…」
絵名さんは僕の”屋上”という
ワードに反応した。
「?…どうかした?」
「…ねえ、夜さん」
「ん?なに?」
「瑞希が居る屋上って何校舎なの?」
「んー、よく居るのは北校舎だよ。
階段が急だから、人が来なくて
いいんだってさ。瑞希らしいよ。」
「北校舎、か…」
絵名さんは考え込むように手を組み、
パレットと筆を床に置いた。
「…どうかした?もし何かあったら
僕が連れてくけど…」
階段急だし、怪我されても心配だし。
「…ううん。なんでもない。」
絵を描くのを再開した絵名さんに、
僕は少し違和感を覚えつつも
作業を始めた。
美術部のやることは大きくわけて3つ。
1つ目は絵を描くこと。
これはまぁ定番だ。
2つ目。年間最低3枚コンクールへ応募。
つまり4ヶ月に1枚ってことだ。
結構スパンが早いと思うけど、
慣れてたら感じないのかな。
最後3つ目。これが一番大変で…
それは、お知らせのプリント全てに
絵を描くってことだ。
一見、何が大変なの?ってなるかもだけど、
この学園の総勢生徒数は約9000人で、
その分行事も少ない…かと思いきや、
かなり多い。1ヶ月に数回。
クラスのお楽しみ会、
料理教室…その他諸々。
その全てのお知らせの
プリントのイラストを、漫画部と
美術部が協力して描いてもらっている。
かつてはそんなに大変ならイラスト
描かなきゃいいじゃんと言う声も
あったそうだが、イラストを無くすと
催し物に関心を無くす人が増えたらしい。
どういう心理現象かはしらないが、
それ以来イラストをいつも
描いてもらっているらしい。
そんな訳で、美術部と漫画部は
年中忙しい。
けど、そんな状況の中絵名さんが絵を
自由に描いているのは、
コンクールに出す頻度が以上に早いからだ。
1ヶ月に5枚絵を仕上げることも
あったとか、なかったとか…
あと、部長だからってのもある。
絵名さんは生徒会に入ってこそ
居ないものの、それでも
やることは山積みだ。
実は、絵名さんが今描いているのは
学園から描いて
欲しいと頼まれた絵。
なんでも、新規プロジェクトの
バナーイラストに使いたいらしい。
確か…美術館だったかな?
いや、音楽館だったかな…
とにかく、芸術系のプロジェクト
イラストに使いたいらしい。
使うのは今回が初めてらしいんだけど、
正直もっと使ってもいいと思う。
こんなに綺麗で素敵な作品を
描けるのだから、
もっと賞賛されてもおかしくはない。
まぁ、絵名さんが
「自分の力で有名な画家になりたい」って
言ってたから今後案件を受けることは
そんなに無いだろうとは思うけど…
…それにしても、今日は描くのが
ゆっくりな気がする。
別に遅筆でもいいんだけど、
こう…ぼーっとしてる、みたいな。
ここの所毎日描いてるみたいだけど…
流石に睡眠時間とかは取ってるだろうし。
「…絵名さ」
僕が声を掛けようとした時、
絵名さんは椅子から崩れ落ちた。
手に握っていた筆を離し、
頭は宙に浮いていた。
「え…絵名さん?大丈夫ですか、!?」
僕は魔法で受け止め、
直ぐに駆け寄る。
「絵名さん!」
「……すみません、絵名さん。
少しだけ、手借りますね」
何も反応がない事から、
聞こえてないのは分かりきっていた。
罪悪感を感じながら僕は手を軽く握り、
魔法を発動した。
「『体調確認』」
初等部のとき、この魔法を初めて習い、
本当に便利な魔法が
沢山あるんだなと思ったのを覚えている。
「…!」
_そして、それを見た瞬間、僕は驚いた。
何故なら、絵名さんの魔力が
限りなく0に近かったから。
「…『治癒魔法発動』」
「『魔力回復』」
僕と絵名さんが居る床に、
魔法陣が出現し、その光は微かに
桃色になっていた。
絵名さんの周りを光が覆い、
魔力回復の合図がした。
「…絵名さん…」
保険医を呼んできた方が
いいのは分かってる。
分かっていたのに、何故だか
足が重くてその場から動けなかった。
生徒会副会長として、
そして絵名さんの友達として、
助けたいのに。
…何故足が重いか、わかった気がする。
今の絵名さんは、昔の僕と似てるんだ。
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